納棺師になるには?仕事内容や必要な資格など進路に役立つ情報まとめ!
納棺師という仕事に興味を持ったきっかけは、映画「おくりびと」だという人も多いのではないでしょうか。故人を美しく整えて送り出すこの仕事は、専門的な技術と心遣いが求められます。
けれど実際に目指すとなると、どんな資格が必要なのか、どうやって技術を身につければいいのか、わからないことだらけですよね。この記事では、納棺師を目指す人が知っておきたい情報を、進路選びから仕事の実態まで詳しく紹介します。
納棺師とは?どんな仕事をする人なのか
納棺師は、亡くなった方を棺に納めるまでの準備を行う専門職です。ご遺体を清めたり、お化粧を施したり、衣装を着せたりする作業を通じて、故人の尊厳を守りながら最期の姿を整えます。
遺族の方々が故人と最後のお別れをする大切な時間に立ち会うため、技術だけでなく心配りも欠かせません。悲しみに寄り添いながら、静かに作業を進めていく姿勢が求められます。
1. 納棺師の基本的な役割
納棺師の仕事は、故人を生前の姿に近づけることから始まります。病気や事故で変わってしまった表情を、できるだけ安らかな状態に整えていきます。
具体的には、ご遺体を清拭して清潔にしたあと、エンゼルケアと呼ばれる処置を行います。傷口の処理や詰め物をして、体液が漏れないようにするのです。これは遺族の方が安心してお別れできるようにするための、とても重要な作業です。
そのあと、お化粧を施して血色を良く見せたり、髪を整えたりします。男性であればひげを剃ることもあります。死装束や遺族が用意した衣装を着せて、最後に棺へ納めるまでが納棺師の役割です。
ただ技術的に作業をこなすだけではありません。遺族の気持ちを汲み取りながら、故人らしさを表現することが大切にされています。
2. 具体的な作業内容と所要時間
納棺の作業には、だいたい1時間から1時間半ほどかかります。ただし、ご遺体の状態や遺族の希望によって、時間は前後します。
作業は遺族の前で行われることが多いです。故人の体を拭き清めるところから始めて、遺族と一緒に思い出話をしながら進めていきます。お化粧の濃さや髪型についても、遺族の希望を聞きながら調整していくのです。
急いで作業を終わらせるのではなく、遺族が故人と向き合う時間を大切にします。そのため、丁寧に声をかけながら、ゆっくりとしたペースで進めることが多いです。
会社によっては、自宅や病院、葬儀場など、さまざまな場所へ出向いて作業を行います。その場所に応じた準備や気配りも必要になってきます。
3. 湯灌師や葬祭ディレクターとの違い
納棺師と似た仕事に、湯灌師があります。湯灌師は専用の浴槽を使って、ご遺体を丁寧に洗い清める仕事です。納棺師が拭き清めるのに対して、湯灌師はお湯で全身を洗うという違いがあります。
ただ、実際の現場では納棺と湯灌の両方を行う人も多いです。湯灌納棺師という呼び方で、どちらの技術も身につけている人がいます。
一方、葬祭ディレクターは葬儀全体をプロデュースする仕事です。遺族との打ち合わせから、式の進行、スタッフの手配まで幅広く担当します。納棺師は故人のケアに特化していますが、葬祭ディレクターは葬儀全体を見渡す立場なのです。
会社によっては、葬祭ディレクターが納棺も行うケースがあります。小規模な葬儀社では、一人が複数の役割を兼ねることも珍しくありません。
納棺師になるために資格は必要?
納棺師を目指すとき、多くの人が気になるのが資格のことです。実は、納棺師になるために必須の国家資格はありません。資格がなくても、この仕事に就くことはできるのです。
とはいえ、関連する資格を持っていると就職に有利になることは確かです。技術や知識を証明できるため、採用する側も安心できます。
1. 資格がなくても納棺師にはなれる
納棺師は特別な免許や資格がなくても働ける職業です。医療行為を行うわけではないため、法律で資格が義務づけられていません。
実際、多くの納棺師が未経験から仕事を始めています。葬儀社や納棺専門の会社に就職して、先輩の指導を受けながら技術を習得していくのです。
最初は先輩の補助からスタートして、少しずつ仕事を任されていきます。何度も繰り返すうちに、自然と技術が身についていくという流れです。
ただし、資格がなくても良いからといって、誰でも簡単にできる仕事ではありません。人の死に向き合う覚悟と、細やかな技術が必要になります。
2. 持っていると有利な資格
資格は必須ではありませんが、持っていると就職や転職で評価されやすくなります。特に葬祭ディレクター技能審査は、葬儀業界で広く認知されている資格です。
葬祭ディレクター技能審査には1級と2級があり、2級は実務経験2年以上で受験できます。葬儀全般の知識が問われるため、納棺師としても役立つ内容です。
また、遺体衛生保全士という民間資格もあります。これはご遺体の適切な処置方法を学ぶもので、納棺師の仕事に直結する内容です。エンバーミングと呼ばれる遺体保全の技術についても知識を深められます。
そのほか、介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)を持っていると、体の扱い方について基礎知識があると見なされます。体位変換などの技術は、納棺の作業でも活かせるのです。
3. 納棺師認定試験について
一般社団法人日本納棺士技能協会が実施している納棺師認定試験というものがあります。これは納棺師としての技能を認定する民間資格です。
試験では、ご遺体の扱い方や衣装の着せ方、お化粧の技術などが問われます。合格すると、一定の技術水準を持っていることの証明になります。
ただし、この資格を持っていないと納棺師になれないわけではありません。あくまで技術を対外的に示すための手段の一つです。
会社によっては、資格取得を支援してくれるところもあります。働きながら資格を目指せる環境が整っている職場を選ぶのも良い方法です。
納棺師になるための進路の選び方
納棺師を目指す進路には、いくつかの選択肢があります。専門学校で学んでから就職する道と、直接会社に入って実務を通じて学ぶ道が主な方法です。
どちらが良いかは、自分の状況や学び方の好みによって変わってきます。時間とお金をかけてじっくり学びたいなら専門学校、早く現場に出たいなら就職という選び方もできます。
1. 専門学校で学ぶという選択肢
葬儀や納棺について専門的に学べる学校がいくつかあります。有名なのは「おくりびとアカデミー」や「九州SOGI専門学校」などです。
専門学校では、納棺の技術だけでなく、葬儀全般の知識や接遇マナー、グリーフケアについても学べます。模擬練習を繰り返すことで、就職前に一定の技術レベルに達することができるのです。
また、同じ志を持った仲間と出会えるのも専門学校の魅力です。お互いに練習相手になったり、情報交換したりしながら学べます。
デメリットとしては、学費がかかることです。コースによって異なりますが、数十万円から百万円以上かかることもあります。期間も数ヶ月から1年程度と、それなりの時間が必要です。
2. 葬儀社や納棺専門会社に就職する方法
専門学校に通わず、直接会社に就職して学ぶ方法もあります。むしろこちらの方が一般的かもしれません。
葬儀社の中には納棺部門を持っているところが多く、未経験者を採用して育成する体制が整っています。求人情報を見ると「未経験歓迎」と書かれているケースも少なくありません。
納棺専門の会社もあります。こうした会社は複数の葬儀社から依頼を受けて納棺を行うため、さまざまなケースに対応する技術が身につきます。
就職先を選ぶときは、研修制度が充実しているかどうかを確認するのがおすすめです。最初にしっかりと基礎を教えてくれる会社なら、安心してスタートできます。
3. 働きながら技術を身につける
実際の現場で経験を積むことが、納棺師にとって何よりの学びになります。どれだけ座学で知識を得ても、実践には代えられません。
最初は先輩のアシスタントとして、道具の準備や片付けから始まります。何度も現場に立ち会ううちに、作業の流れや遺族への対応の仕方が自然と身についていくのです。
半年から1年ほど経つと、簡単な作業を任されるようになります。お化粧や髪のセット、着せ替えなど、段階的にできることが増えていきます。
技術職なので、上達には時間がかかります。焦らずコツコツと経験を重ねることが大切です。一人前になるまでには、だいたい3年程度かかると言われています。
専門学校で学べる内容とは?
専門学校では、納棺師として必要な技術と知識を体系的に学べます。実技中心のカリキュラムで、実践的なスキルが身につくのが特徴です。
学校によって内容は異なりますが、基本的な流れや学べることは共通しています。ここでは代表的な専門学校のカリキュラムを紹介します。
1. カリキュラムの具体例
納棺の専門学校では、ご遺体の扱い方から始まります。体位変換の方法や、安全に移動させる技術など、基礎的な部分をしっかり学びます。
次に、清拭やエンゼルケアの実習が行われます。実際の手順を模擬人形を使って練習するのです。詰め物の仕方や、体液の漏出を防ぐ処置方法など、細かい技術を繰り返し練習します。
お化粧の技術も重要なカリキュラムです。男性と女性では化粧の仕方が異なりますし、年齢によっても適した方法があります。自然で安らかな表情を作るための色の使い方や、筆の動かし方を学びます。
そのほか、死装束の着せ方や、宗教・宗派による違いについても学びます。仏教、神道、キリスト教など、それぞれの作法を理解しておく必要があるのです。
2. 実習と座学のバランス
専門学校のカリキュラムは、実習が中心です。技術職なので、実際に手を動かして覚えることが何より大切だからです。
ただし、座学も軽視できません。人体の仕組みや、死後の変化について知識がないと、適切な処置ができません。解剖学や衛生学の基礎を学ぶ時間も設けられています。
また、接遇マナーやコミュニケーション技術についても学びます。遺族の悲しみに寄り添いながら、適切な距離感を保つ方法は、実技と同じくらい重要です。
グリーフケアについての講義もあります。悲嘆のプロセスを理解して、遺族をどうサポートするかを考える内容です。
3. 学費や受講期間について
専門学校の受講期間は、コースによって異なります。短期集中コースなら数週間から数ヶ月、じっくり学ぶコースなら1年程度です。
学費もコースによって幅があります。短期のものなら30万円前後、長期のものだと100万円以上かかることもあります。分割払いができる学校もあるので、事前に確認すると良いでしょう。
また、社会人向けに週末だけ通えるコースを設けている学校もあります。仕事を続けながら学びたい人には便利な選択肢です。
学費は決して安くありませんが、就職後すぐに現場で活躍できる力が身につきます。将来への投資と考えるなら、検討する価値はあるかもしれません。
納棺師に向いている人の特徴
納棺師という仕事には、向き不向きがあります。技術は練習で身につけられますが、適性は簡単には変えられません。
自分がこの仕事に向いているかどうか、事前に考えておくことは大切です。以下の特徴に当てはまる人は、納棺師に適していると言えます。
1. 遺体に触れることへの抵抗感が少ない
納棺師の仕事は、毎日のようにご遺体に触れます。これは避けようのない事実です。
人によっては、どうしても恐怖心や嫌悪感を抱いてしまうかもしれません。そういった気持ちが強いと、仕事を続けるのは難しくなります。
ただし、最初から全く抵抗がない人も少ないです。多くの納棺師が、最初は緊張したり戸惑ったりしながら、徐々に慣れていきます。
大切なのは、故人への敬意を持って接することです。ご遺体を単なる「モノ」として見るのではなく、一人の人として丁寧に扱う姿勢があれば、自然と向き合えるようになります。
2. 人の気持ちに寄り添える共感力がある
納棺師は遺族の悲しみの中で仕事をします。大切な人を亡くした直後の、心が不安定な時期に立ち会うのです。
そのため、相手の気持ちを想像して、適切な言葉をかけたり、そっと見守ったりする力が求められます。共感力が高い人は、遺族に安心感を与えられます。
ただし、感情移入しすぎるのも問題です。毎回深く悲しんでいたら、自分の心が持ちません。適度な距離感を保ちながら、相手に寄り添うバランス感覚が大切です。
「この人に任せて良かった」と思ってもらえるような対応ができると、納棺師としてのやりがいも感じられます。
3. 手先が器用で美的センスがある
納棺の作業には、細かい手作業が多いです。お化粧を施したり、髪を整えたり、衣装の襟元を美しく整えたり、細部にまで気を配ります。
手先が器用な人は、こうした作業をスムーズに行えます。不器用でも練習すれば上達しますが、もともと器用な人の方が有利です。
また、美的センスも重要です。どんな化粧が自然に見えるか、どの角度から見ても美しく見えるように整えるか、といった判断にはセンスが必要になります。
美容やファッションに興味がある人、絵を描くのが好きな人などは、こうした感覚が活かせるかもしれません。
4. 体力と精神的な強さを持っている
納棺師の仕事は、想像以上に体力を使います。ご遺体を移動させたり、体位を変えたりする作業は、かなりの力が必要です。
特に腰への負担が大きく、腰痛に悩まされる納棺師も少なくありません。正しい体の使い方を覚えることは大切ですが、基礎体力があるに越したことはないのです。
精神的な強さも欠かせません。人の死に毎日向き合う仕事なので、気持ちが沈んでしまうこともあります。悲しい場面に立ち会っても、自分の心をコントロールできる力が必要です。
休日にしっかりリフレッシュして、気持ちを切り替えられる人が長く続けられる傾向にあります。
納棺師の給料や待遇はどのくらい?
納棺師を目指すなら、収入面も気になるところです。仕事のやりがいは大きいですが、生活していくための現実的な部分も知っておく必要があります。
給料は会社や地域によって差がありますが、おおよその相場を把握しておくと進路選びの参考になります。
1. 平均年収と月給の内訳
納棺師の平均年収は、だいたい300万円から400万円程度です。月給に換算すると、20万円から30万円くらいが相場になります。
新人のうちは月給18万円から20万円程度でスタートすることが多いです。経験を積んで技術が向上すると、昇給していきます。
会社によっては、件数に応じた歩合給が付くこともあります。多くの案件をこなせるようになると、収入を増やせる仕組みです。
ただし、一般的なサラリーマンの平均年収と比べると、決して高いとは言えません。この仕事を選ぶ人の多くは、収入よりもやりがいを重視している傾向があります。
2. 地域や会社による違い
給料は地域によって差があります。東京や大阪などの都市部では、比較的高めに設定されていることが多いです。
例えば、東京都内の求人を見ると、月給25万円から30万円の案件も見られます。一方、地方では20万円前後が一般的です。
また、葬儀社の規模によっても待遇が変わります。大手の葬儀社は福利厚生が充実していて、社会保険や退職金制度もしっかりしています。
小規模な会社では給料は控えめでも、アットホームな雰囲気で働きやすいというメリットがあるかもしれません。自分が何を優先するかで、選ぶべき会社は変わってきます。
3. 将来性と市場の見通し
日本は高齢化が進んでいるため、葬儀業界全体の需要は今後も安定すると考えられます。亡くなる方の数が増えれば、納棺師の仕事も増えていくはずです。
ただし、葬儀の簡素化が進んでいることも事実です。家族葬や直葬が増えると、納棺の依頼自体が減る可能性もあります。
一方で、納棺師の技術に対する評価は高まっています。丁寧で心のこもったサービスを提供できる人材は、これからも求められ続けるでしょう。
技術を磨いて専門性を高めれば、独立して納棺専門の事業を始めることも可能です。将来的なキャリアアップの道はいくつか考えられます。
納棺師の働き方と勤務形態
納棺師の仕事は、一般的なオフィスワークとは大きく異なります。亡くなる方がいつ出るかは予測できないため、勤務時間も不規則になりがちです。
具体的にどんな働き方になるのか、あらかじめイメージしておくと心の準備ができます。
1. 1日の勤務時間とスケジュール
納棺師の1日は、その日の予定によって大きく変わります。午前中に1件、午後に2件といった具合に、複数の現場を回ることが多いです。
朝は比較的ゆっくりで、9時や10時に出勤することもあります。ただし、夜間に亡くなった方の対応で早朝から動くこともあるので、一概には言えません。
1件あたりの作業時間は1時間から1時間半程度ですが、移動時間も含めると、1日中外を回っていることになります。
勤務時間は1日8時間程度が基本ですが、繁忙期や急な依頼が重なると、残業が発生することもあります。ただし、極端に長時間働くことは少ないようです。
2. 休日の取り方とシフト制について
納棺師の休日は、シフト制で決まることが多いです。土日祝日に葬儀が行われることも多いため、平日に休むスタイルになります。
月に8日から10日程度の休みが一般的です。連休が取りにくいという面はありますが、平日休みのメリットもあります。役所や病院が空いている時間に用事を済ませられるのです。
会社によっては、希望休を出せる制度があります。予定が決まっている日は、早めに申請しておけば休みが取れることもあります。
ただし、繁忙期には休みが取りにくくなることもあります。年末年始やお盆の時期は、葬儀が増えるため忙しくなりがちです。
3. 夜勤や急な対応があるのか
納棺師は基本的に日中の仕事なので、夜勤は少ないです。病院の霊安室で待機するような仕事ではありません。
ただし、夜間に亡くなった方の搬送や、翌日の葬儀に向けた準備で、夜遅くまで働くことはあります。完全に夜勤がないとは言い切れません。
急な呼び出しについては、会社によって対応が異なります。オンコール制を採用している会社では、休日でも連絡が入る可能性があります。
逆に、完全にシフト制で、自分の勤務日以外は連絡が来ない会社もあります。就職前に、この辺りの体制を確認しておくと安心です。
納棺師として働くうえで大変なこと
納棺師はやりがいのある仕事ですが、楽な仕事ではありません。精神的にも肉体的にも、負担がかかる場面があります。
事前にどんな大変さがあるのか知っておけば、覚悟を決めて臨めます。現実を理解したうえで目指すことが大切です。
1. 精神的なきつさと向き合い方
毎日人の死に向き合う仕事なので、気持ちが沈むことがあります。特に若い方や、小さな子どもの納棺は、精神的にこたえます。
遺族の悲しみを目の当たりにすると、自分まで辛くなってしまうこともあるでしょう。感情移入しすぎると、心が疲れてしまいます。
また、ご遺体の状態が良くない場合もあります。事故や病気で損傷が激しいケースでは、作業そのものが精神的な負担になることもあるのです。
こうした精神的な負担と上手に付き合うには、仕事とプライベートをしっかり切り替えることが大切です。休日は趣味に没頭したり、友人と過ごしたりして、気持ちをリフレッシュする時間を作りましょう。
2. 体力的な負担と腰痛のリスク
納棺の作業は、体を使う仕事です。ご遺体を持ち上げたり、体位を変えたりする動作は、腰や肩に大きな負担がかかります。
特に腰痛は職業病とも言える症状です。間違った体の使い方を続けていると、慢性的な痛みに悩まされることになります。
正しい持ち上げ方や、体に負担をかけない姿勢を身につけることが重要です。先輩から教わったり、自分で勉強したりして、体を守る方法を学びましょう。
また、日頃から体を鍛えておくことも大切です。筋力があれば、同じ作業でも体への負担は減らせます。
3. 不定期な勤務と急な呼び出し
人の死は予測できないため、仕事のスケジュールも不規則になります。前日に翌日の予定がわかることも多く、計画的な生活は難しい面があります。
休日でも急に呼び出されることがあるため、プライベートの予定が崩れることもあります。友人との約束をキャンセルせざるを得ないこともあるでしょう。
また、繁忙期と閑散期の波が激しいのも特徴です。忙しい時期は毎日複数の現場を回りますが、暇な時期は仕事が少なくなります。
こうした不規則な働き方に対応できる柔軟性が必要です。予定が立てにくいことにストレスを感じやすい人には、向いていないかもしれません。
納棺師のやりがいと魅力
大変なことも多い納棺師ですが、それ以上に大きなやりがいを感じられる仕事です。多くの納棺師が、この仕事に誇りを持って取り組んでいます。
実際に働いている人たちが、どんなところに魅力を感じているのか紹介します。
1. 遺族から感謝の言葉をもらえる喜び
納棺師として最も嬉しい瞬間は、遺族から「ありがとう」と言われる時です。「きれいにしてくれて本当に良かった」「安心して送り出せます」といった言葉をもらえると、この仕事をやっていて良かったと心から思えます。
悲しみの中にいる遺族が、少しでも穏やかな気持ちになれるようお手伝いできることに、大きな意味があります。
特に、生前の面影を取り戻せたときの遺族の表情は忘れられません。「まるで眠っているみたい」と涙ながらに喜んでくれる姿を見ると、この仕事の価値を実感します。
人の役に立っていることを直接感じられる仕事は、そう多くありません。納棺師は、まさにそんな仕事の一つです。
2. 故人を美しく送り出す使命感
納棺師には、故人の最後の姿を整えるという重要な役割があります。この使命感が、仕事へのモチベーションになります。
どんなに状態が悪いご遺体でも、丁寧に処置を施して、できる限り美しい姿に整える。その過程には、深い敬意と責任感が必要です。
自分の技術で故人の尊厳を守れることに、誇りを感じている納棺師は多いです。単なる作業ではなく、故人への最後の贈り物だと考えて取り組んでいます。
また、宗教や文化の違いを尊重しながら、それぞれに適した方法で対応することも大切にされています。多様な価値観に触れられるのも、この仕事の魅力です。
3. 専門技術が身につくキャリア
納棺師は高度な専門技術を必要とする仕事です。エンゼルケア、復元、お化粧など、特殊なスキルを身につけることができます。
こうした技術は、一朝一夕で習得できるものではありません。何年もかけて磨き上げていく職人技です。自分の技術が向上していく実感を持てるのは、大きなやりがいになります。
また、納棺師としての経験は、他の職業にも活かせます。グリーフケアの知識や、遺族への対応スキルは、介護や医療の現場でも役立ちます。
独立して自分の事業を始める人もいます。技術と経験があれば、フリーランスの納棺師として活躍する道も開けます。
納棺師を目指す人によくある質問
納棺師を目指すときに、多くの人が疑問に思うことがあります。ここでは、よくある質問とその答えをまとめました。
進路を考えるうえで参考になる情報ばかりです。
1. 未経験でも納棺師になれるのか?
未経験でも納棺師になることは十分可能です。むしろ、多くの納棺師が未経験からスタートしています。
葬儀社や納棺会社の求人を見ると、「未経験歓迎」と書かれているものが多いです。研修制度が整っている会社なら、基礎から丁寧に教えてもらえます。
大切なのは、人の死に向き合う覚悟と、技術を学ぶ意欲です。経験がなくても、真摯に学ぶ姿勢があれば受け入れてくれる会社は見つかります。
年齢制限も特にありません。20代で始める人もいれば、40代や50代で転職してくる人もいます。
2. 運転免許は必要?
運転免許はほぼ必須と考えて良いでしょう。納棺師は自分で車を運転して、さまざまな場所へ向かうことが多いからです。
自宅や病院、葬儀場など、その日によって現場が変わります。公共交通機関では移動しにくい場所もあるため、車が必要になります。
求人情報を見ても、「要普通免許」と記載されているケースがほとんどです。免許を持っていないと、応募できない会社も多いのが現実です。
もし免許を持っていないなら、就職活動を始める前に取得しておくことをおすすめします。
3. 男性と女性どちらが多い職業?
納棺師は男性が多い職業ですが、女性の納棺師も増えています。特に最近は、女性ならではの細やかな気配りが評価されて、積極的に採用する会社も増えてきました。
女性の納棺師は、お化粧や髪のセットが得意な人が多いです。女性の故人に対しては、同性の納棺師を希望する遺族もいるため、需要はあります。
ただし、体力が必要な仕事なので、力仕事に自信がない人は大変に感じるかもしれません。とはいえ、正しい体の使い方を覚えれば、女性でも十分に続けられます。
男女関係なく、技術と心遣いがあれば活躍できる職業です。性別よりも、適性や意欲の方が重要になります。
まとめ
納棺師という仕事は、故人と遺族の大切な時間に立ち会う、責任の重い職業です。資格がなくても始められますが、高度な技術と深い人間理解が求められます。
専門学校で学んでから就職する道も、直接会社に入って経験を積む道もあります。どちらを選んでも、最終的には現場での実践を通じて一人前になっていきます。精神的にも肉体的にも大変な面はありますが、遺族からの感謝の言葉や、故人を美しく送り出せたという達成感は、何物にも代えがたいものです。
この記事で紹介した情報を参考に、自分に合った進路を考えてみてください。納棺師を目指す覚悟ができたなら、まずは求人情報をチェックしたり、専門学校の説明会に参加したりして、具体的な一歩を踏み出してみましょう。
