葬儀の知識

遺体衛生保全士の仕事とは?年収の目安と資格取得の流れを解説!

終活のトリセツ

「遺体衛生保全士」という職業を聞いたことはありますか?葬儀に関わる仕事のひとつですが、具体的に何をする人なのか、よくわからない方も多いかもしれません。

この記事では、遺体衛生保全士の仕事内容や年収、そして資格を取得するまでの流れについて詳しく紹介していきます。専門的な技術が必要な職業ですが、遺族の心に寄り添う大切な役割を担っています。これから目指したいと考えている方にとって、きっと役立つ情報になるはずです。

遺体衛生保全士とは?

遺体衛生保全士は、故人の体を衛生的に保ち、生前の穏やかな姿に近づけるための専門職です。単に見た目を整えるだけではなく、遺族が安心してお別れできる環境を作る重要な役割を担っています。

1. 遺体の状態を保つための専門職

遺体衛生保全士の最も大きな役割は、遺体の状態を一定期間保つことです。適切な処置を施すことで、10日から2週間ほど遺体を良好な状態に保てるようになります。

この仕事が必要とされる背景には、いくつかの理由があります。まず、遠方に住む親族が集まるまでに時間がかかるケースです。全員が揃うまで葬儀を待つ場合、遺体を適切に保全しなければなりません。

また、事故や病気で亡くなった方の場合、外見に損傷があることもあります。そんなときに修復技術を使って、できるだけ生前の姿に近づけることができるのです。遺族にとって、故人の穏やかな顔を見られることは、心の支えになるかもしれません。

感染症の防止という側面も忘れてはいけません。適切な消毒や防腐処理を行うことで、参列者や葬儀関係者の健康も守られます。衛生面での安全を確保することで、誰もが安心して故人を見送れる環境が整うわけです。

2. エンバーマーとも呼ばれる理由

遺体衛生保全士は「エンバーマー」という呼び方でも知られています。これは「エンバーミング」という専門技術を行う人という意味です。

エンバーミングとは、遺体に対して消毒や保存処理、化粧、必要に応じた修復を行う一連の技術のことを指します。海外では広く普及している技術で、日本でも徐々に認知度が高まってきました。

この技術を習得するには、専門的な知識と訓練が必要です。解剖学や病理学、さらには化学的な知識まで幅広く学ばなければなりません。単なる見た目の処理ではなく、医学的な根拠に基づいた専門技術なのです。

日本では「遺体衛生保全士」という名称の方が一般的かもしれませんが、どちらも同じ職業を指しています。呼び方は違っても、故人の尊厳を守り、遺族の心を支えるという役割は変わりません。

遺体衛生保全士の具体的な仕事内容

遺体衛生保全士の仕事は、大きく分けて防腐処理と身支度の2つに分かれます。どちらも専門的な技術と知識が求められる作業です。

1. 遺体の防腐処理

防腐処理は、遺体衛生保全士の仕事の中でも最も専門性が高い部分です。遺体の一部を切開して、動脈から防腐剤を注入し、同時に静脈から血液を抜き取る処置を行います。

具体的な手順としては、まず遺体の消毒と洗浄から始まります。体を清潔にした上で、切開部位を慎重に選びます。動脈から防腐剤を注入すると同時に、静脈から血液を排出していくのです。

さらに腹部に小さな穴を開けて、胸腔や腹腔に残った体液や腐敗しやすい残存物を吸引します。その後、同じ部分に防腐剤を注入していきます。処置中も腐敗は進行するため、素早く的確な対応が求められます。

この作業には高度な技術が必要です。遺体の状態によって処置方法を変えなければならないこともあります。経験を積むことで、より適切な判断ができるようになっていくのです。

2. 着付けや化粧といった身支度

防腐処理が終わると、次は遺体の身支度を整える作業に移ります。全身を再度清拭や洗浄してから、死装束や遺族の希望する衣服を着せていきます。

化粧を施すときは、故人の生前の雰囲気を大切にします。遺族から写真を見せてもらって、普段の表情や化粧の仕方を確認することもあります。できるだけ自然で穏やかな表情になるよう、丁寧に整えていくのです。

髪型を整えたり、爪を磨いたりといった細かい部分にも気を配ります。こうした一つひとつの作業が、遺族の心に残る最後の姿を作り上げることにつながります。

遺族の要望に応じて、思い出の品を手に持たせたり、好きだった服を着せたりすることもあります。故人らしさを表現しながら、遺族が納得できる姿に整えていく。そんな心遣いが求められる仕事です。

3. 遺体の修復作業

事故や病気で外見に損傷がある場合、修復作業も重要な仕事のひとつになります。傷や損傷を自然な状態に戻すために、細かな技術が必要です。

修復には特殊な素材や技術が使われます。傷口を縫合したり、欠損部分を補ったりといった作業を行います。できるだけ生前の姿に近づけることで、遺族の心の負担を軽くすることができるのです。

災害や大きな事故の場合、修復が難しいケースもあります。それでも、遺族が少しでも安らかに故人と向き合えるよう、できる限りの処置を施します。

修復技術は経験によって磨かれていきます。一人ひとりの遺体の状態が異なるため、その都度最適な方法を考えなければなりません。遺族の気持ちを第一に考えながら、丁寧に作業を進めていく姿勢が大切です。

エンゼルケアや納棺師との違いは?

遺体に関わる仕事はいくつかありますが、それぞれ役割や処置内容が異なります。混同されやすい職業との違いを知っておくと、理解が深まるかもしれません。

1. エンゼルケアとの違い

エンゼルケアは、主に看護師が病院で行う処置のことを指します。亡くなった直後に体を清潔にしたり、着替えをさせたりする基本的なケアです。

エンゼルケアでは、防腐剤を注入するような専門的な処置は行いません。体を拭いて清潔にし、口や鼻に詰め物をして、簡単な化粧を施す程度です。あくまでも一時的な処置という位置づけになります。

一方、遺体衛生保全士が行うエンバーミングは、もっと専門的で長期的な保全を目的としています。防腐剤の注入や血液の排出といった医学的な処置を含むため、高度な技術が必要です。

処置にかかる時間も大きく違います。エンゼルケアは30分から1時間程度ですが、エンバーミングには数時間かかることもあります。それだけ丁寧で専門的な作業だということです。

2. 納棺師との違い

納棺師は、遺体を棺に納める儀式を執り行う専門職です。湯灌(ゆかん)と呼ばれる清めの儀式や、死化粧、着替えなどを遺族と一緒に行います。

納棺師の仕事は、どちらかといえば儀式的な側面が強いです。遺族が故人との最後の時間を大切に過ごせるよう、丁寧にサポートします。遺族が湯灌や化粧に参加できるよう調整することもあります。

対して遺体衛生保全士は、医学的・衛生的な処置が中心です。防腐処理や修復といった専門技術を使って、遺体の状態を保つことに重点を置いています。

ただし、どちらも故人の尊厳を守り、遺族の心に寄り添うという点では共通しています。役割は違っても、大切な仕事であることに変わりはありません。

3. それぞれの役割の範囲

これらの職業は、互いに補完し合う関係にあります。エンゼルケアは病院で最初に行われる基本的な処置です。その後、必要に応じて遺体衛生保全士がエンバーミングを施します。

エンバーミングが終わると、納棺師が儀式を執り行い、遺体を棺に納めます。このように、それぞれが異なる段階で関わっているのです。

遺族の希望や状況によって、どの処置を選ぶかが決まります。すべてのケースでエンバーミングが必要というわけではありません。葬儀までの日数が短い場合は、エンゼルケアと納棺だけで済むこともあります。

大切なのは、それぞれの専門性を理解した上で、故人と遺族にとって最適な方法を選ぶことです。どの職業も、故人への敬意と遺族への配慮を持って仕事に取り組んでいます。

遺体衛生保全士の年収や給料の目安

遺体衛生保全士を目指す上で、収入面も気になるところです。専門職なので、一般的な葬儀スタッフとは異なる給与体系になっています。

1. 月給と年収の相場

遺体衛生保全士の月給は、およそ30万円程度が目安です。年収に換算すると、300万円から600万円ほどの幅があります。

この金額の幅は、経験年数や勤務先によって変わってきます。資格を取得したばかりの新人であれば、年収300万円台からスタートすることが多いようです。一方、ベテランになると600万円前後まで上がることもあります。

勤務先によっても差があります。大手の葬儀会社やエンバーミングセンターでは、比較的安定した給与が期待できるかもしれません。福利厚生が充実している企業も増えてきています。

ただし、この職業は処置件数によって収入が変動する可能性もあります。エンバーミングの需要は地域によって異なるため、働く場所選びも重要になってきます。

2. エンバーミング報奨金について

多くの職場では、エンバーミングを行うごとに報奨金が支払われる制度があります。基本給とは別に、処置1件につき数千円から数万円の手当がつくことがあるのです。

この報奨金は、専門技術に対する評価という側面もあります。エンバーミングは高度な技術を要する作業なので、それに見合った報酬が設定されているわけです。

処置件数が多い月は、報奨金の分だけ収入が増えることになります。逆に、件数が少ない月は基本給のみになることもあります。月によって収入に変動があることを理解しておく必要があるかもしれません。

報奨金の金額や制度は、勤務先によって異なります。就職する際には、給与体系についてしっかり確認しておくことをおすすめします。

3. 経験によって変わる給与

遺体衛生保全士の給与は、経験を積むごとに上がっていく傾向があります。技術が向上し、さまざまなケースに対応できるようになると、評価も高まるからです。

新人のうちは、先輩の指導を受けながら基本的な処置を学んでいきます。この期間は給与もそれほど高くないかもしれません。しかし、3年、5年と経験を重ねるにつれて、任される仕事の幅も広がっていきます。

ベテランになると、難しい修復作業や特殊なケースも担当できるようになります。そうした高度な技術を持つ人材は、どの職場でも重宝されます。給与面での待遇も自然と良くなっていくはずです。

また、後輩の指導を任されたり、管理職になったりする道もあります。キャリアアップによって、さらに収入を増やせる可能性もあるのです。

資格取得に必要な条件とは?

遺体衛生保全士として働くには、専門の資格を取得する必要があります。誰でも簡単になれる職業ではなく、決められた道筋を辿らなければなりません。

1. IFSA認定の資格が必須

遺体衛生保全士になるには、IFSA(一般社団法人日本遺体衛生保全協会)が認定する資格が必要です。この資格がなければ、エンバーミングの仕事に就くことはできません。

IFSAは、日本国内でエンバーミングの普及と技術向上を目指している団体です。資格認定だけでなく、養成校の指定や試験の実施も行っています。遺体衛生保全士の質を保つために、厳格な基準を設けているのです。

資格を取得するには、IFSAが認定した養成校を卒業しなければなりません。独学で勉強して試験だけ受けるということはできないのです。必ず指定の教育課程を修了する必要があります。

この資格制度があることで、遺体衛生保全士の技術水準が一定に保たれています。遺族が安心して任せられる専門職として、信頼性が担保されているわけです。

2. 養成校での2年間の学び

IFSA認定の養成校では、2年間のカリキュラムが組まれています。この期間で、エンバーミングに必要な知識と技術を体系的に学んでいきます。

カリキュラムには、解剖学や病理学といった医学的な科目が含まれています。遺体の構造を理解することは、適切な処置を行うための基礎になるからです。化学や衛生学についても学びます。

実技訓練も重要な部分です。実際の遺体を使った実習を通じて、防腐処理や修復の技術を身につけていきます。最初は先生の指導のもと、徐々に一人でできるようになっていくのです。

2年間というのは決して短くない期間ですが、それだけ専門性の高い職業だということです。しっかりとした教育を受けることで、自信を持って現場に立てるようになります。

3. 資格試験の内容と時期

養成校で2年間学んだ後、IFSA主催の資格試験を受験します。この試験に合格して初めて、正式に遺体衛生保全士として認定されます。

試験は筆記試験と実技試験の両方があります。筆記試験では、解剖学や衛生学、法律に関する知識などが問われます。幅広い分野から出題されるため、養成校での学びをしっかり復習しておく必要があります。

実技試験では、実際にエンバーミングの技術を披露します。防腐処理の手順や修復技術、化粧の技法などが評価されます。養成校で培った技術を、試験官の前で正確に実演しなければなりません。

試験は年に1回実施されるのが一般的です。養成校卒業のタイミングに合わせて受験することになります。合格率は公表されていませんが、しっかり勉強していれば合格できる内容だといわれています。

資格取得の具体的な流れ

ここでは、実際に遺体衛生保全士になるまでの道のりを、順を追って説明していきます。具体的なイメージを持つことで、目標に向けた準備ができるはずです。

1. IFSA認定校への入学

まず最初のステップは、IFSA認定の養成校に入学することです。日本国内には数校しかないため、選択肢は限られています。

代表的な養成校としては、日本ヒューマンセレモニー専門学校やフューネラルサイエンスカレッジなどがあります。これらの学校では、エンバーミング専門の学科が設置されています。

入学するには、高校卒業以上の学歴が必要です。入学試験がある場合もあるので、事前に学校の情報をよく調べておくことが大切です。オープンキャンパスに参加して、実際の授業の雰囲気を確認するのもいいかもしれません。

学費については、一般的な専門学校と同程度か、やや高めになる傾向があります。専門的な設備や実習が必要なため、ある程度の費用は覚悟しておく必要があります。奨学金制度を利用できる場合もあるので、学校に相談してみることをおすすめします。

2. 2年間のカリキュラム内容

養成校では、2年間かけて体系的にエンバーミングを学びます。1年目は基礎的な知識の習得が中心です。

主な学習内容

  • 解剖学:人体の構造と機能を理解する
  • 病理学:病気や死因について学ぶ
  • 衛生学:感染症対策や衛生管理の方法
  • 化学:防腐剤の成分や作用を理解する
  • 法律:遺体の取り扱いに関する法規制
  • エンバーミング基礎:防腐処理の基本手順

1年目の後半からは、実技訓練が本格的に始まります。最初は人形を使った練習ですが、徐々に実際の遺体を使った実習に移行していきます。

2年目になると、より高度な技術を学びます。事故死や病死など、さまざまなケースに対応できるよう訓練を重ねます。修復技術や特殊な化粧法についても、この時期に習得していきます。

また、遺族とのコミュニケーション方法や、葬儀の流れについても学びます。技術だけでなく、人間性を磨くことも大切な学びの一部です。

3. 資格試験の受験から合格まで

2年間のカリキュラムを無事に修了すると、いよいよ資格試験を受験します。試験は通常、卒業年度の秋から冬にかけて実施されます。

試験の数週間前から、養成校では試験対策の授業が行われることが多いです。筆記試験の模擬問題を解いたり、実技の最終確認をしたりします。この期間は特に集中して勉強する必要があります。

試験当日は、まず筆記試験が行われます。時間内に全ての問題に答えなければなりません。その後、実技試験に移ります。実技試験では、試験官が見守る中で実際にエンバーミングの手順を実演します。

試験結果は、数週間後に通知されます。合格すると、IFSAから正式に遺体衛生保全士として認定されます。認定証が発行され、晴れてプロとして働けるようになるのです。

遺体衛生保全士に向いている人の特徴

遺体衛生保全士は、誰にでもできる仕事ではありません。専門的な技術だけでなく、精神的な強さや人間性も求められます。

1. 必要な知識とスキル

遺体衛生保全士には、幅広い知識が必要です。解剖学や病理学といった医学的な知識は基本中の基本といえます。人体の構造を正確に理解していなければ、適切な処置ができないからです。

化学の知識も欠かせません。防腐剤の成分や作用を理解し、状況に応じて適切に使い分ける必要があります。間違った使い方をすると、遺体を傷めてしまう恐れもあります。

手先の器用さも重要なスキルです。細かい修復作業や化粧を施すには、繊細な技術が求められます。縫合や修復には、ある程度の手先の器用さが必要になるでしょう。

また、集中力と正確性も大切です。一つひとつの作業を丁寧に、正確に行わなければなりません。長時間の処置でも集中力を保ち続ける体力も必要です。

2. 求められる精神的な強さ

遺体を扱う仕事なので、精神的な強さは不可欠です。毎日のように遺体と向き合うため、死というものに対する覚悟が必要になります。

特に、事故や災害で亡くなった方の遺体は、損傷が激しい場合もあります。そうした状況でも冷静に仕事を遂行できる精神力が求められます。感情的になってしまうと、適切な処置ができなくなってしまいます。

ただし、感情を完全に押し殺す必要はありません。むしろ、故人への敬意や遺族への思いやりを持ちながら仕事をすることが大切です。冷静さと温かさ、その両方を持ち合わせることが理想かもしれません。

自分自身のメンタルケアも忘れてはいけません。辛い場面に直面したときは、同僚や上司に相談したり、休息を取ったりすることも必要です。長く続けていくためには、自分の心の健康を保つことも重要なのです。

3. 遺族への配慮ができる人

遺体衛生保全士は、技術職であると同時に、遺族に寄り添う仕事でもあります。処置の説明をしたり、要望を聞いたりする機会も多いです。

遺族は深い悲しみの中にいます。そんなときに、冷たい態度で接してしまうと、さらに心を傷つけてしまいかねません。優しく丁寧な対応ができる人が向いています。

質問や不安に対しては、わかりやすく説明する必要があります。専門用語を使わず、遺族が理解できる言葉で伝えることが大切です。時には、処置の内容を見せたり、写真で説明したりすることもあります。

また、遺族の要望にできる限り応えようとする姿勢も重要です。故人が好きだった服を着せてほしい、特別な化粧をしてほしいといった希望があれば、可能な範囲で対応します。遺族の思いを大切にすることで、満足のいくお別れができるのです。

遺体衛生保全士の主な就職先

資格を取得した後、どこで働くかも重要な選択です。遺体衛生保全士の活躍の場は、いくつかのパターンに分かれます。

1. 葬儀関連会社での勤務

多くの遺体衛生保全士は、葬儀会社に就職します。大手の葬儀会社では、社内にエンバーミング部門を持っているところもあります。

葬儀会社で働く場合、エンバーミングだけでなく、葬儀全般の流れを理解する必要があります。納棺や式の進行など、他のスタッフと連携しながら仕事を進めていきます。

会社の規模によって、扱う件数も変わってきます。大手であれば処置件数が多く、さまざまなケースを経験できる可能性があります。一方、地域密着型の会社では、遺族との距離が近く、きめ細やかな対応ができるかもしれません。

福利厚生や研修制度が整っている会社を選ぶと、長く安心して働けます。就職先を決める際は、待遇面だけでなく、会社の理念や雰囲気も確認しておくといいでしょう。

2. エンバーミングセンターでの仕事

エンバーミング専門の施設で働く道もあります。エンバーミングセンターは、複数の葬儀会社から依頼を受けて処置を行う専門施設です。

この施設では、エンバーミングに特化した仕事ができます。葬儀の準備や式の進行には関わらず、処置だけに集中できる環境です。技術を磨きたい人にとっては、理想的な職場かもしれません。

さまざまな葬儀会社からの依頼があるため、多様なケースに対応する機会があります。経験を積むスピードも早いかもしれません。

ただし、処置件数が多い分、体力的にはハードな面もあります。効率よく正確に作業を進める能力が求められます。チームで協力しながら、一日に何件もの処置をこなしていく必要があるのです。

3. 勤務時間と休日について

遺体衛生保全士の勤務時間は、職場によって異なります。葬儀会社で働く場合は、葬儀の日程に合わせたシフト制になることが多いです。

基本的には日中の勤務が中心ですが、夜間や休日に処置が必要になることもあります。急な依頼が入る可能性もあるため、ある程度の柔軟性が必要です。

休日については、週休2日制を採用している職場が増えています。ただし、土日祝日は葬儀が多いため、平日に休むことが多くなるかもしれません。家族や友人との予定を合わせにくいと感じることもあるでしょう。

エンバーミングセンターで働く場合は、比較的規則正しい勤務時間になることもあります。事前に予約が入っているケースが多いため、スケジュールが立てやすいのです。自分のライフスタイルに合った職場を選ぶことが、長く働き続けるコツかもしれません。

遺体衛生保全士の将来性と需要

遺体衛生保全士という職業の将来性について、多くの人が関心を持っています。これから目指す価値のある仕事なのか、考えてみましょう。

1. 高齢化による需要の増加

日本は世界でも有数の高齢化社会です。今後も高齢者の人口は増え続け、それに伴って死亡者数も増加していくことが予想されます。

死亡者数が増えるということは、葬儀の件数も増えるということです。その中で、エンバーミングを希望する遺族も増えていく可能性があります。特に、遠方から親族が集まる場合や、葬儀までの日数が必要な場合には、エンバーミングが有効だからです。

また、エンバーミングに対する認知度も徐々に高まっています。以前は「遺体を切開する」という点に抵抗を感じる人も多かったのですが、最近では衛生面でのメリットや、故人を美しい姿で見送れることが理解されつつあります。

こうした社会的背景を考えると、遺体衛生保全士の需要は今後も安定していくと考えられます。将来性のある職業といえるでしょう。

2. 現在の人手不足の状況

実は現在、遺体衛生保全士は人手不足の状態にあります。需要に対して、資格を持った専門家の数が足りていないのです。

この背景には、養成校の数が限られていることがあります。全国でも数校しかないため、資格取得を目指す人の数自体が少ないのです。また、仕事の性質上、志望者が少ないという事情もあるかもしれません。

人手不足ということは、裏を返せば就職しやすい状況だといえます。資格を取得すれば、就職先に困ることは少ないでしょう。むしろ、複数の選択肢の中から自分に合った職場を選べる可能性があります。

また、待遇面でも改善されていく傾向にあります。人材を確保するために、給与を上げたり福利厚生を充実させたりする企業が増えているのです。これから目指す人にとっては、良いタイミングかもしれません。

3. これからの需要予測

今後、エンバーミングの需要はさらに多様化していくと予想されます。従来の葬儀だけでなく、新しいニーズも生まれてくるかもしれません。

例えば、海外に住む親族が帰国するまで遺体を保全したいというケースが増える可能性があります。国際化が進む中で、そうした需要は今後も増えていくでしょう。

また、自然災害が発生した際には、大量の遺体を衛生的に保全する必要があります。遺体衛生保全士は、そうした緊急時にも重要な役割を果たします。社会的に必要とされる職業だといえます。

技術の進歩によって、エンバーミングの方法も進化していく可能性があります。新しい防腐剤の開発や、より低侵襲な処置方法が生まれるかもしれません。そうした変化に対応しながら、専門性を高めていくことが大切です。

エンバーミングを依頼する際の費用

ここでは参考として、エンバーミングを依頼する際の費用について紹介します。遺体衛生保全士を目指す方も、サービスの価格帯を知っておくと良いでしょう。

1. 基本料金の目安

エンバーミングの基本料金は、15万円から25万円程度が相場です。この金額には、防腐処理や洗浄、化粧、着付けといった基本的な処置が含まれています。

料金は地域や施設によって異なります。都市部では高めに設定されていることが多く、地方では比較的安価な場合もあります。

また、処置を行う場所によっても変わってきます。専門のエンバーミングセンターで行う場合と、葬儀会館で行う場合では、料金設定が違うことがあるのです。

この費用は葬儀費用とは別にかかります。葬儀全体の費用を考える際には、エンバーミング費用も含めて計算する必要があります。事前に見積もりを取って、総額を確認しておくことをおすすめします。

2. 追加費用が発生するケース

基本料金に含まれない処置が必要な場合、追加費用が発生することがあります。特に、修復作業が必要なケースでは、料金が上乗せされることが多いです。

事故や災害で損傷が激しい場合、修復には特別な技術と時間が必要になります。そのため、数万円から10万円程度の追加料金がかかることもあります。

また、特殊な希望がある場合も追加費用の対象です。例えば、特別な衣装を着せたい、髪型を複雑に整えたいといった要望があれば、別料金になることがあります。

遠方への搬送が必要な場合も、交通費が加算されます。エンバーミング施設が離れた場所にある場合は、搬送費用も考慮に入れなければなりません。

3. 処置を受けられる施設の数

エンバーミングを行える施設は、まだ全国的に多くはありません。大都市圏には複数の施設がありますが、地方では限られていることもあります。

日本国内には、100ヶ所程度のエンバーミング施設があるといわれています。ただし、この数は年々増加傾向にあります。需要の高まりとともに、新しい施設が開設されているのです。

お住まいの地域に施設がない場合、遠方まで搬送する必要があるかもしれません。その分、時間も費用もかかってしまいます。事前に近くの施設を調べておくと、いざというときに慌てずに済むでしょう。

葬儀会社に相談すれば、提携しているエンバーミング施設を紹介してもらえることが多いです。複数の選択肢を比較して、納得できる施設を選ぶことが大切です。

まとめ

遺体衛生保全士は、故人の尊厳を守り、遺族の心に寄り添う大切な職業です。専門的な技術と知識が必要ですが、その分やりがいも大きいといえます。高齢化社会の中で需要は今後も安定していくと予想され、将来性のある仕事だと考えられます。

資格を取得するには2年間の養成校での学びが必要ですが、その先には専門職としてのキャリアが待っています。人手不足の状況もあり、資格を持っていれば就職先に困ることは少ないでしょう。故人と遺族のために役立ちたいという思いがあれば、ぜひ挑戦してみる価値のある職業です。

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