葬儀の知識

遺髪を取るのは良くない?正しい保管方法や供養についても解説!

終活のトリセツ

「遺髪」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。大切な方が亡くなったとき、その髪の毛を形見として手元に残す文化が日本にはあります。けれど一方で「遺髪を持つのは良くない」といった声も耳にするかもしれません。気持ちとしては残しておきたいのに、なんとなく不安になってしまいますよね。

この記事では、遺髪が持つ意味や、良くないと言われる理由について丁寧に解説していきます。また、保存するうえで気をつけたいポイントや、いずれ処分や供養を考えたときにどんな方法があるのかもご紹介します。故人を身近に感じながら、安心して形見を残していくための参考にしてください。

遺髪というのは何のことか

遺髪というのは、亡くなった方の髪の毛を形見として取っておくことを指します。お葬式の前後に少しだけ切り取り、小さな袋や容器に入れて保管するのです。古くから日本では、故人との絆を感じるために遺髪を大切にする習慣がありました。

1. 故人の髪を形見として残す文化

髪の毛は身体の一部であり、生きていた頃のぬくもりや面影を感じられる存在です。遺骨とは違い、柔らかさや手触りがあるため、より人の存在を身近に感じられるかもしれません。昔から日本では、お守りのように髪を持ち歩いたり、大切に保管したりする風習がありました。持っているだけで心が落ち着くという人も少なくないようです。

こうした習慣は、愛する人を失った悲しみの中で、少しでも寄り添いたいという気持ちの表れなのでしょう。形見として遺髪を選ぶというのは、とても自然で優しい選択のように思えます。

2. 遺骨の代わりとして供養する意味もある

火葬すると遺骨は残りますが、髪の毛は焼け落ちてしまいます。そのため、納棺前に髪を切り取っておくことで、後から遺骨とは別に供養する対象にすることもできます。たとえば分骨のように、遺髪を小さな骨壺やペンダントに納めて自宅で手元供養する方法もあります。

遺骨よりも扱いやすく、場所も取らないので、気軽に身近に置いておけるというメリットがあります。日常的に仏壇に手を合わせたり、いつも身につけたりすることで、故人との対話を続けている感覚になれるのです。

3. ご遺体を献体した場合にも活用される

ご遺体を医学のために献体した場合、すぐには遺骨が戻ってこないケースもあります。そうしたときに遺髪があれば、それを故人の代わりとして供養することができます。家族としては何かしら形のあるものを手元に残しておきたいと思うものですよね。

髪の毛であれば献体前に切り取っておくことができるため、あとから後悔することも防げます。遺髪というのは、こうしたさまざまな事情のなかでも役立つ存在だといえます。

遺髪を取るのはどのタイミングなのか

遺髪を取るタイミングは、納棺前の数時間が一般的です。すでに亡くなった後のことですから、少し緊張するかもしれませんが、落ち着いて対応すれば問題ありません。気持ちの整理がつかないうちに切り損ねてしまうと、あとから取り返しがつかないので注意が必要です。

1. 納棺前に切ってもらうことが多い

納棺式のときに、葬儀社のスタッフから「遺髪を取りますか?」と声をかけられる場面があります。その際、希望すれば清潔なはさみで髪の毛を少しだけ切り取ってもらえます。このとき家族が自分で切ることもできますし、スタッフに任せることもできます。

どちらの方法でも構いませんが、心の準備ができていない場合は無理に自分でやる必要はありません。周りの人に頼ってもいいのです。ただ、一度火葬してしまうと髪は灰になってしまうため、この段階が最後のチャンスになります。

2. 葬儀社から提案してもらえる場合もある

最近では、遺髪を取ることを最初から提案してくれる葬儀社も増えています。それだけ多くの方が遺髪を希望しているということなのでしょう。もし事前に考えていなかったとしても、スタッフから声をかけてもらえればその場で決断できます。

反対に、遺髪についてまったく触れられない場合もあります。そのときは自分から「髪の毛を取っておきたいのですが」と伝えてみてください。遠慮せずに希望を伝えることが大切です。

3. 火葬後には髪は残らないので事前の準備が必要

火葬の炉の温度は非常に高く、髪の毛はすぐに燃えてしまいます。遺骨は残りますが、髪の毛が形として残ることはありません。そのため、遺髪を残したいと少しでも考えているなら、納棺前に必ず取っておく必要があります。

あとから「やっぱり欲しかった」と思っても、どうすることもできないのです。迷ったときは、とりあえず取っておくほうが後悔しない選択かもしれません。いつか気持ちが変わったときに手放すことはできますが、手に入れることはできないからです。

遺髪が良くないと言われる理由とは

遺髪を持つことに対して、「良くない」という意見を聞くことがあります。家族や親戚から反対されたり、ネットで不安をあおるような書き込みを見かけたりして、迷ってしまう方もいるかもしれません。では、なぜそう言われるのでしょうか。

1. 髪には霊力が宿るという言い伝えがある

古くから日本では、髪の毛には特別な力が宿ると信じられてきました。昔話や伝承のなかにも、髪の毛が呪術に使われるといった描写がよく登場します。そのため、遺髪を持つことで霊的な影響を受けるのではないかと心配する声があるのです。

確かに髪は身体の一部ですから、その人の生命力や魂と結びついていると感じるのは自然なことかもしれません。けれど、実際に悪いことが起こるかどうかは人それぞれの受け止め方によるところが大きいようです。

2. 故人の魂が現世に留まってしまうという不安

遺髪を手元に置いておくことで、故人の魂がこの世に留まってしまい、成仏できないのではないかと考える人もいます。特に仏教の一部の考え方では、執着を断ち切ることが大切だとされています。だからこそ形見を持つことに対して、否定的な意見が出ることもあるのです。

ただ、これもあくまで解釈の問題であり、宗派やお寺によって見解は異なります。むしろ供養の気持ちを込めて大切にするのであれば、悪いことではないと考える僧侶も多いです。

3. 衛生面での心配やカビ・虫害への懸念

遺髪は有機物ですから、保存の仕方によってはカビが生えたり、虫がついたりする可能性があります。湿気の多い場所に放置していると、変色したり異臭が出たりすることもあるのです。こうした衛生面での不安から、「遺髪なんて持たないほうがいい」と言われることもあります。

確かに管理が不十分だとトラブルの元になります。けれど、きちんと対策をすれば長期間きれいな状態を保つことは十分に可能です。不安があるなら、正しい保存方法を知ることが一番の解決策になります。

4. 宗教や風習による考え方の違い

宗教や地域によって、遺髪に対する考え方は大きく異なります。たとえばキリスト教では形見を持つこと自体をあまり重視しない傾向があります。一方で、神道では故人の魂を家に迎え入れる習慣もあり、遺髪を神棚に祀る地域もあります。

自分の家族がどのような考えを持っているかを確認しておくと、のちのちトラブルになりにくいでしょう。もし意見が分かれた場合は、無理に押し通すのではなく、話し合いの場を持つことが大切です。

遺髪を長持ちさせる保存方法

遺髪は適切に保存すれば、半永久的に残しておくことができます。髪の毛はケラチンというタンパク質でできており、腐敗しにくい性質を持っているからです。とはいえ、自然のものですから劣化を防ぐための工夫は必要です。

1. 髪に付いた水分や汚れをしっかり取り除く

遺髪を保存する前に、まずは髪についている水分や汚れを丁寧に拭き取りましょう。湿ったまま密閉してしまうと、カビの原因になります。清潔なティッシュやタオルで優しく包み、しっかりと乾燥させることが大切です。

少し手間に感じるかもしれませんが、このひと手間が何年も先の状態を左右します。水分が残っていると、押し入れや引き出しの中で知らないうちにカビが繁殖してしまうのです。故人の大切な髪だからこそ、最初の処理は丁寧に行いたいものです。

2. 直射日光や紫外線を避けて保管する

髪の毛は紫外線に非常に弱く、長時間当たり続けると色あせやキューティクルの劣化が進みます。黒髪が茶色っぽく変色してしまったり、ツヤが失われてしまったりすることもあります。そのため、直射日光の当たらない場所で保管することが基本です。

たとえ容器に入れていても、窓際に置くのは避けたほうがいいでしょう。引き出しの中や押し入れの奥など、光が届かない場所を選んでください。切り取ったときの状態をできるだけ長く保つために、紫外線対策は欠かせません。

3. 湿気の多い場所は避け、乾燥剤を活用する

湿気はカビや菌の繁殖につながる大きな原因です。水回りの近くや、風通しの悪い場所に置いておくと、すぐに状態が悪くなってしまいます。ホームセンターなどで売っている乾燥剤や除湿剤を容器の中に入れておくと、湿気対策として非常に効果的です。

定期的に乾燥剤の状態をチェックして、必要に応じて交換するようにしましょう。こうした小さな気配りが、遺髪を美しく保つ秘訣になります。大切なものだからこそ、手をかけてあげたいですね。

4. 和紙や小さな容器に納めて保存するのがおすすめ

遺髪の保存方法として特におすすめなのが、和紙で包むやり方です。和紙は吸湿性と通気性に優れており、室内の湿度が高いときには湿気を吸収してくれます。遺髪を和紙で包んだうえで、密閉できる小瓶や桐箱に入れると、さらに安心です。

密閉容器を使えば、外部からのホコリや虫の侵入も防げます。専用のケースも市販されていますので、予算に応じて選んでみるといいでしょう。容器の選び方ひとつで、保存状態は大きく変わります。

遺髪をより身近に感じられる保存のかたち

遺髪を手元に置いておくといっても、ただ引き出しにしまっておくだけではもったいないと感じる人もいるでしょう。もっと身近に、日常的に故人を感じられる形にしたいと思うのは自然なことです。そんなときに役立つのが、遺髪を加工して残す方法です。

1. ペンダントやアクセサリーに納める手元供養

遺髪を小さなカプセルに入れて、ペンダントやストラップに加工することができます。これなら外出先でもいつも身につけていられるので、寂しいときにそっと触れることもできます。アクセサリーとしてのデザイン性も高く、見た目にも美しく仕上がっているものが多いです。

専門の業者に依頼すれば、レジン樹脂で封入したり、防カビ処理を施したりして、劣化しにくい状態にしてもらえます。信頼できる業者を選ぶことが大切ですが、仕上がりを見ると心が温かくなるはずです。

2. ミニ骨壺や専用容器で仏壇に置く方法

自宅に仏壇がある場合は、ミニ骨壺のような専用容器に遺髪を納めて飾る方法もあります。見た目も上品で、日々の供養の対象として手を合わせることができます。遺骨ほど重くなく、場所も取らないので、気軽に手元供養を始められます。

デザインもさまざまで、シンプルなものから装飾が施されたものまで選べます。自分の好みや部屋の雰囲気に合わせて選んでみてください。毎日目にすることで、故人との絆を感じ続けられるでしょう。

3. 密閉性のある容器なら劣化や変色を防げる

遺髪を長期間きれいに保つためには、やはり密閉性が重要です。空気に触れる時間が長いと、酸化や変色の原因になります。専用の容器は密閉性が高く設計されているため、外部の影響をほとんど受けません。

防カビ・防酸化性を高めるための特殊な加工が施されている商品もあります。価格は少し高くなるかもしれませんが、大切な遺髪を守るための投資と考えれば納得できるはずです。

遺髪の処分や供養の仕方はどうすればいいのか

時が経つにつれて、遺髪の扱いに悩むこともあるかもしれません。引っ越しや気持ちの整理のタイミングで、「どうしたらいいのだろう」と迷う人も少なくありません。無理に持ち続ける必要はなく、手放す選択肢もあるのです。

1. 一般ゴミとして処分しても法律上は問題ない

実は、遺髪には法律上の規制がありません。遺骨のように「墓地、埋葬等に関する法律」で定められているわけではないため、一般ゴミとして処分しても違法ではないのです。ただ、気持ちの面で抵抗を感じる人が多いのも事実です。

どうしても処分する必要があるけれど、ゴミに出すのは心苦しいという場合は、ほかの方法を選ぶほうが後悔しないでしょう。自分の気持ちに正直になることが大切です。

2. お寺や神社でお炊き上げをお願いする方法

多くのお寺や神社では、遺髪のお炊き上げを受け付けています。お炊き上げとは、供養の気持ちを込めて焼却してもらう儀式のことです。きちんと手を合わせて見送ることができるので、心の区切りもつけやすくなります。

費用は寺社によって異なりますが、数千円から一万円程度が一般的です。事前に電話で問い合わせてから訪れるとスムーズです。遺髪に対する感謝の気持ちを込めて、丁寧に供養してもらえるのは安心ですね。

3. 自分が亡くなった後に一緒に火葬してもらう選択肢

自分が生きている間は持ち続けて、亡くなったときに一緒に火葬してもらうという方法もあります。家族に「私が死んだら一緒に棺に入れてほしい」と伝えておくだけで済みます。こうすれば、遺髪を無理に手放す必要もありません。

この選択は、故人との絆を最後まで大切にしたいという気持ちの表れです。遺髪をどうするかに正解はありませんので、自分の心に従った選択をすればいいのです。

4. 永代供養や合祀墓に納める場合もある

遺骨と同じように、遺髪を永代供養や合祀墓に納めることもできます。お寺に預けて、長期的に供養してもらう形です。自宅での管理が難しくなった場合や、誰にも負担をかけたくないときに選ばれる方法です。

永代供養であれば、定期的にお寺で供養してもらえるので、安心して任せられます。費用や供養の内容については、事前にしっかり確認しておくといいでしょう。

遺髪を保管する場所と風水の考え方

遺髪をどこに置くかについて、風水の観点から気にする人もいます。風水はあくまで参考のひとつですが、気持ちよく供養を続けるための目安にはなるかもしれません。できれば明るく穏やかな場所に置きたいものです。

1. 風水では東南の方角が吉とされている

風水において、東南の方角は「人間関係」や「縁」を司るとされています。遺髪や遺骨を置く場所としては、東南が良いという考え方があります。もちろん家の間取りや生活スタイルによっては難しい場合もありますが、可能であれば意識してみるといいでしょう。

方角にこだわりすぎる必要はありませんが、家族が集まりやすい場所や、毎日目にする場所に置くことで、故人とのつながりを感じやすくなります。

2. 家族が集まる明るい場所に置くのが望ましい

風水では、暗く人気のない場所に遺髪を置くのは避けたほうがいいとされています。できればリビングや仏間など、家族が日常的に過ごす明るい空間に置くほうが良いそうです。光が差し込み、空気の流れがある場所のほうが、気の流れも良くなると考えられています。

ただし、直射日光は遺髪を劣化させるため、明るい場所といっても窓際は避けましょう。バランスを考えながら配置することが大切です。

3. 北東や人気のない場所は避けたほうがいい

風水では、北東は「鬼門」とされ、あまり良い方角とはされていません。また、押し入れの奥や誰も立ち入らない部屋に置くのも、気が滞りやすいと考えられています。遺髪を「隠しておくもの」として扱うのではなく、「大切に祀るもの」として考えたほうが、心の面でも前向きになれるのではないでしょうか。

風水はあくまで指針のひとつですが、気持ちの整理や安心感につながるなら、参考にしてみる価値はあるでしょう。

まとめ

遺髪は、故人との絆を感じられるかけがえのない形見です。良くないと言われることもありますが、きちんと保存方法を守り、供養の気持ちを持ち続けていれば、決して悪いものではありません。むしろ、悲しみを癒やし、心の支えになることもあるのです。

もし今、遺髪を持つかどうかで迷っているなら、自分の気持ちを大切にしてください。周りの意見も参考にしながら、自分が納得できる選択をすることが何よりも大事です。そして、いつか手放すときが来たとしても、それまでの時間を故人と過ごせたことには大きな意味があるはずです。遺髪という小さな存在が、あなたの心にそっと寄り添ってくれますように。

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