浄土真宗の還骨法要は?流れやマナーと準備するものを解説!
「還骨法要」という言葉を初めて耳にする方もいるかもしれません。葬儀の一連の流れの中で行われる大切な儀式ですが、浄土真宗では他の宗派とは少し違った考え方や作法があります。これから葬儀を執り行う方や、参列する予定のある方にとって、事前に知っておくと安心できる内容です。
この記事では、浄土真宗における還骨法要の流れやマナー、そして準備すべきものについて詳しくお伝えしていきます。浄土真宗ならではの特徴も含めて、わかりやすく解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
還骨法要とは?
1. 還骨法要の意味
還骨法要は、火葬を終えた後に遺骨を骨壺に納めて、自宅や葬儀会場にお迎えして行う法要です。「遺骨を迎える」という意味があり、葬儀における最後の儀式にあたります。
火葬場から戻ってきた遺骨を後飾り祭壇に安置し、僧侶に読経してもらいながら供養を行います。この法要を終えることで、葬儀・告別式の一連の儀式が完了したことになるのです。
ここから遺族は忌中の期間に入り、初七日法要から始まる忌中供養を行っていくことになります。四十九日法要で忌明けを迎えるまでの間、七日ごとに法要を営むのが習わしです。
2. 浄土真宗における還骨法要の位置づけ
浄土真宗では、還骨法要のことを「還骨勤行(かんこつごんぎょう)」と呼ぶことが多いです。他の宗派では「還骨法要」や「安位諷経(あんいふぎん)」と呼ばれることもあります。
浄土真宗の教えでは、亡くなった方はすぐに極楽浄土へ行くとされています。そのため故人に対する供養という考え方ではなく、阿弥陀如来への感謝の気持ちを表す勤行という位置づけになります。
この点が他の宗派と大きく異なる部分です。ご遺体ではなく本尊に向かって勤行を行うのも、浄土真宗ならではの特徴といえるでしょう。
3. 本願寺派と大谷派での呼び方の違い
浄土真宗には本願寺派と大谷派という二つの主な宗派があります。どちらも還骨勤行という呼び方を使うことが多いですが、細かい作法には違いが見られます。
大きな違いは焼香の回数です。本願寺派では1回、大谷派では2回焼香を行います。どちらも額には押し頂かず、右手の親指・人差し指・中指の3本でお香をつまんで香炉にくべます。
呼び方や作法に違いはあっても、遺骨を迎えて阿弥陀如来に感謝を捧げるという本質的な意味は同じです。自分の家の宗派がどちらなのか、事前に確認しておくと当日スムーズに進められます。
浄土真宗における還骨法要の特徴
1. 浄土真宗独特の考え方
浄土真宗では「亡くなった方はすぐに極楽浄土へ行く」という教えがあるため、他の宗派とは根本的に考え方が違います。一般的には四十九日の間、故人の霊が浄土へ行けるように願って法要を行いますが、浄土真宗ではその必要がないのです。
還骨勤行も故人のための供養ではなく、阿弥陀如来への感謝を表す儀式という意味合いになります。この違いを理解しておくと、法要の意味がより深く感じられるかもしれません。
また浄土真宗では死を忌み嫌うという概念がありません。そのため火葬場から戻った際のお清めも行わないのが特徴です。他の宗派では塩や水でお清めをすることが一般的ですが、浄土真宗ではそれが不要となります。
2. 他の宗派との違いはどこにある?
まず大きな違いは、清め塩を使わないという点です。他の宗派では火葬場から戻った際に、火葬場に同行していない方にひしゃくで汲んだ水を両手にかけてもらい、胸・背中・足元に塩を振ってもらうのが通例です。
しかし浄土真宗では死を穢れとして扱わないため、お清めという行為自体が必要ありません。この考え方は浄土真宗の教義に基づくもので、他の宗派とは一線を画しています。
また使用する言葉にも違いがあります。他の宗派では「御霊前」「冥福を祈る」「魂」といった言葉を使いますが、浄土真宗では「御仏前」「哀悼の意を表する」「故人」という言葉を使います。「安らかにお眠りください」ではなく「私たちをお導きください」と表現するのも特徴的です。
3. 分骨を行うことがある理由
浄土真宗では火葬後の遺骨を本山に分骨する場合があります。これは宗派に対する信仰心の表れであり、本山に納骨することで阿弥陀如来とのつながりを持ち続けるという意味があります。
分骨は必ずしも行わなければならないものではありません。ただし行う場合は、火葬場で骨上げをする際に分骨用の骨壺を用意しておく必要があります。
本願寺派であれば西本願寺、大谷派であれば東本願寺というように、それぞれの本山に納骨することが一般的です。分骨を希望する場合は、事前に葬儀社や僧侶に相談しておくとスムーズに進められます。
還骨法要の流れ
1. 火葬場から戻って身体を清める
火葬場から戻ると、まず身体を清める儀式が行われることがあります。ただし浄土真宗の場合は、前述したように清め塩を使わないのが特徴です。
他の宗派では火葬場に同行していない方が、ひしゃくで汲んだ水を戻ってきた方の両手にかけ、胸・背中・足元に塩を振るという手順を踏みます。しかし浄土真宗では死を穢れと考えないため、この儀式は省略されます。
最近では火葬場から戻ってきた方のみで簡単に済ませる場合も増えているようです。宗派や地域によって習慣が異なるため、わからないことがあれば葬儀社に確認してみるのがよいでしょう。
2. 後飾り祭壇に遺骨・位牌・遺影を安置する
火葬場から自宅や葬儀会場に戻ったら、後飾り祭壇に遺骨を安置します。この後飾り祭壇は葬儀社が事前に準備してくれることがほとんどです。
遺骨を中心に、白木の仮位牌と遺影を一緒に飾ります。これから忌中の期間に入り、四十九日法要まで毎日手を合わせる場所となります。
後飾り祭壇は中陰壇(ちゅういんだん)とも呼ばれます。シンプルな白木の祭壇で、花や線香、お供え物を置くスペースも設けられています。遺族はこの祭壇の前で毎日お参りし、故人を偲びます。
3. 僧侶に読経・供養してもらう
遺骨を安置したら、僧侶に読経をしていただきます。浄土真宗では還骨勤行として、阿弥陀如来への感謝を表す読経が行われます。
この読経は30分程度で終わることが多いです。僧侶は本尊に向かって勤行を行い、遺族は静かに手を合わせます。
浄土真宗では故人への供養ではなく、阿弥陀如来の教えを確認し感謝する時間という位置づけになります。このあたりの考え方が他の宗派と異なる点ですが、遺族として故人を偲ぶ気持ちは変わりません。
4. 順番に焼香をあげる
僧侶の読経が終わったら、遺族が順番に焼香を行います。喪主を筆頭に、血縁の濃い順で焼香していきます。
浄土真宗の焼香は、お香を額に押し頂かないのが特徴です。右手の親指・人差し指・中指の3本でお香をつまみ、そのまま香炉にくべます。
本願寺派では1回、大谷派では2回焼香を行います。自分の家の宗派がわからない場合は、前の人のやり方を見て真似すれば大丈夫です。会場が自宅の場合は、ここで還骨法要が終了となります。
浄土真宗の還骨法要で準備するもの
1. 後飾り祭壇を用意する
還骨法要には後飾り祭壇が必要です。これは葬儀社が準備してくれることがほとんどなので、遺族が自分で用意する必要はありません。
後飾り祭壇は白木でできたシンプルな祭壇で、三段構成になっているものが一般的です。上段に遺骨、中段に位牌と遺影、下段にお供え物を置くスペースが設けられています。
この祭壇は四十九日法要まで自宅に設置しておくものです。毎日手を合わせる場所になるため、落ち着いて参拝できる場所に配置するのがよいでしょう。
2. 遺骨・位牌・遺影の配置
後飾り祭壇には遺骨・位牌・遺影をバランスよく配置します。葬儀社のスタッフが適切な位置に配置してくれることが多いですが、基本的な配置を知っておくと安心です。
遺骨は祭壇の中心、もしくは上段に置きます。白木の仮位牌と遺影も一緒に飾り、遺族が手を合わせやすいように整えます。
浄土真宗では本尊に向かって勤行を行うため、本尊の方向も意識した配置になります。わからないことがあれば、葬儀社や僧侶に相談すれば丁寧に教えてくれるはずです。
3. お供え物の準備
後飾り祭壇にはお供え物も必要です。お花、線香、お水、ご飯などを毎日供えます。浄土真宗では派手な色の花は避け、白を基調とした落ち着いた色合いの花を選ぶのが一般的です。
線香は毎日絶やさないようにする必要はありません。これも浄土真宗の考え方で、他の宗派とは異なる部分です。お通夜でも一晩中線香を絶やさないようにする必要はないとされています。
お供え物は毎日新しいものに取り替えるのが理想的です。故人が好きだった食べ物や飲み物をお供えすることもできます。ただし生ものは傷みやすいので、日持ちするものを選ぶとよいでしょう。
還骨法要でのマナー
1. 焼香のやり方:本願寺派と大谷派の違い
浄土真宗の焼香には本願寺派と大谷派で違いがあります。本願寺派では焼香を1回、大谷派では2回行います。
どちらの宗派でも、お香を額に押し頂かないのが共通の特徴です。右手の親指・人差し指・中指の3本でお香をつまみ、そのまま香炉にくべます。
覚えるのが難しい場合は、自分の宗派の作法でしても問題はありません。ただし喪主・遺族の立場の方は、浄土真宗の作法にならって焼香をするのが望ましいです。参列者として出席する場合は、前の方のやり方を見て真似すれば大丈夫です。
2. 参列時の服装の基本
還骨法要に参列する際の服装は、喪服が基本です。葬儀・告別式から引き続き参列する場合は、そのままの服装で問題ありません。
男性は黒のスーツに白いシャツ、黒いネクタイを着用します。女性は黒のワンピースやアンサンブル、黒のストッキングと靴を合わせます。
アクセサリーは控えめにし、派手なものは避けましょう。真珠のネックレスは一連のものであれば着用しても構いません。ハンカチも白か黒を選ぶのがマナーです。
3. 清め塩を使わない理由
浄土真宗では清め塩を使いません。これは死を穢れとして忌み嫌う概念がないためです。
他の宗派では死を穢れと考え、火葬場から戻った際に塩や水でお清めをするのが一般的です。しかし浄土真宗の教えでは、亡くなった方はすぐに極楽浄土へ行くため、穢れという考え方自体が存在しないのです。
この違いを知らないと戸惑うかもしれませんが、宗派による考え方の違いだと理解しておけば問題ありません。葬儀社のスタッフが適切に案内してくれるはずです。
還骨法要にかかるお布施
1. お布施の相場はどれくらい?
還骨法要のお布施は、初七日法要と合わせて3万円から5万円が相場とされています。ただし地域や寺院によって金額は異なるため、事前に確認しておくと安心です。
お布施は僧侶への謝礼という意味があります。読経や供養をしていただいたことへの感謝の気持ちを込めて渡します。
金額に決まりはありませんが、あまりに少ない金額だと失礼にあたる場合もあります。わからない場合は葬儀社に相談するか、同じ寺院の檀家に聞いてみるのもよいでしょう。
2. お布施の渡し方とタイミング
お布施は白い封筒に入れて、奉書紙で包むのが正式な方法です。表書きには「御布施」と書き、下段に喪主の名前を記入します。
渡すタイミングは法要が始まる前か、終わった後のどちらでも構いません。法要前に渡す場合は、僧侶が会場に到着した際に「本日はよろしくお願いいたします」と一言添えて渡します。
法要後に渡す場合は、「本日はありがとうございました」とお礼を述べながら渡します。お盆や袱紗に乗せて、両手で丁寧に差し出すのがマナーです。
3. 心付けは必要か?
心付けは必ずしも必要ではありません。ただし、遠方から来ていただいた場合や、特別にお世話になった場合には、お車代として別途用意することがあります。
お車代の相場は5千円から1万円程度です。白い封筒に入れて「お車代」と表書きし、僧侶にお渡しします。
葬儀社のスタッフへの心付けも、最近では不要とする葬儀社が増えています。サービス料金に含まれていることが多いためです。ただし特別に配慮していただいた場合は、感謝の気持ちとして渡しても問題ありません。
還骨法要と初七日法要を同時に行う場合
1. 繰り上げ法要とは?
繰り上げ法要とは、本来亡くなってから七日後に行う初七日法要を、葬儀当日に前倒しして行うことです。還骨法要の流れに組み込まれるため、「還骨・初七日法要」という言い方もされます。
昔は初七日法要を実際に七日後に行っていましたが、現代では遠方からの参列者や仕事の都合を考慮して、葬儀当日に行うのが一般的になっています。
これにより遺族や参列者の負担が大きく軽減されます。再度集まる必要がなくなるため、スケジュール調整もしやすくなります。
2. 式中初七日と戻り初七日の違い
繰り上げ法要には「式中初七日」と「戻り初七日」の2つの方法があります。式中初七日は、葬儀・告別式の中で初七日法要を行う方法です。
一方、戻り初七日は火葬を終えて会場に戻ってから、還骨法要と一緒に初七日法要を行う方法です。火葬場から帰ってきたら家族・親族だけで行うため、会葬者に迷惑をかけることもありません。
どちらの方法を選ぶかは、遺族の希望や地域の習慣によって異なります。葬儀社と相談しながら決めるのがよいでしょう。
3. 初七日を同時に行うときの準備
初七日法要を同時に行う場合、お布施は還骨法要と合わせて用意します。金額は3万円から5万円が相場ですが、寺院によって異なるため確認が必要です。
精進落としの食事も準備しておきます。法要が終わった後に、参列者をもてなすための会食です。
喪主は開会の挨拶を行い、感謝の気持ちを込めて一同にお礼の言葉を述べます。親族代表の方に献杯の挨拶をお願いする場合は、事前に本人に依頼しておきましょう。遠方からの参列者の帰宅時間を考慮して、法要と精進落としを進行させることも大切です。
還骨法要を行う場所
1. 自宅で行う場合
還骨法要は自宅で行うことが多いです。火葬場から自宅に戻り、後飾り祭壇を整えて僧侶に読経してもらいます。
自宅で行う利点は、落ち着いた雰囲気の中で法要を営めることです。慣れ親しんだ環境なので、遺族も心を落ち着けて参列できます。
ただし自宅のスペースが限られている場合は、参列者の人数を調整する必要があります。後飾り祭壇を設置するスペースも確保しなければなりません。
2. 葬儀場で行う場合
葬儀場で還骨法要を行うこともできます。火葬場から葬儀場に戻り、そこで法要を営みます。
葬儀場で行う利点は、設備が整っていることです。後飾り祭壇も葬儀社が準備してくれるため、遺族の負担が少なくなります。
また、そのまま精進落としの会食に移ることもできます。参列者の動線もスムーズで、移動の手間が省けます。自宅が遠い場合や、参列者が多い場合は葬儀場で行うのがおすすめです。
3. 後飾り祭壇の設置場所の選び方
後飾り祭壇は、遺族が毎日手を合わせやすい場所に設置します。リビングや仏間など、家族が集まりやすい部屋を選ぶのが一般的です。
直射日光が当たる場所は避けましょう。お供え物が傷みやすくなりますし、位牌や遺影も色褪せてしまいます。
また、人通りが多すぎる場所も避けた方がよいです。落ち着いてお参りできる静かな場所を選びましょう。四十九日法要まで設置しておくため、邪魔にならない場所を選ぶことも大切です。
おわりに
還骨法要は葬儀の一連の流れの中で行われる大切な儀式です。浄土真宗では還骨勤行と呼ばれ、故人への供養ではなく阿弥陀如来への感謝を表す意味があります。清め塩を使わないことや、焼香の回数が本願寺派と大谷派で異なることなど、浄土真宗ならではの特徴を理解しておくと安心です。
還骨法要の後は、四十九日法要まで自宅の後飾り祭壇で毎日手を合わせることになります。この期間は故人を偲び、残された家族が心の整理をつけていく大切な時間です。わからないことがあれば、葬儀社や僧侶に遠慮なく相談してみてください。丁寧に教えてくれるはずです。
