お清め塩のかけ方は?込められた意味や余った塩の処分方法を解説!
葬儀や通夜に参列したあと、小さな塩の袋を受け取ったことはありませんか。これは「お清め塩」と呼ばれるもので、昔から日本で受け継がれてきた習慣です。ただ、いざ使おうとしたとき「どうやってかければいいんだろう」「この塩はどう処分すればいいのかな」と迷ってしまうこともあるかもしれません。
実は、お清め塩には正しいかけ方や順番があって、知っておくとスムーズに使えます。また、余った塩の処分方法や、もらえなかったときの対処法など、意外と知らない疑問もたくさんあるものです。この記事では、お清め塩にまつわる基本から細かい疑問まで、わかりやすく紹介していきます。
お清め塩とは?
お清め塩とは、葬儀やお通夜に参列した人が、帰宅する前に身を清めるために使う塩のことです。会葬礼状と一緒に小さな袋に入れて渡されることが多く、家の玄関に入る前に体に振りかけて使います。
この習慣は、古来から日本で続いてきたものです。昔の人々は、死を穢れ(けがれ)として捉えていました。そして葬儀に参列したときに、その穢れを持ち帰ってしまうと考えられていたのです。だからこそ、自宅に入る前に塩で清めるという風習が生まれました。
ちなみに、この考え方は神道から来ています。神道では、死は不浄なものとされていて、塩を使ってその穢れを祓うという儀式が行われてきました。ただし、清めるのは故人の霊ではなく、人の死に際して寄り付いてきた邪気を祓うという意味です。
とはいえ、現代では宗派によって考え方が異なります。仏教では本来、死を穢れとは考えていません。そのため、お清め塩を配らない葬儀も増えてきています。とくに浄土真宗では、亡くなった方は仏になると考えるため、清め塩を使わないことが多いようです。
お清め塩の正しいかけ方
お清め塩を使うときには、正しい手順や順番があります。きちんとした方法を知っておくと、迷わずスムーズに使えるはずです。ここでは、基本的なかけ方を順番に紹介していきます。
1. 玄関に入る前に使う
お清め塩は、必ず玄関に入る前に体に振りかけます。家の中に入ってから使っても、本来の「清める」という意味がなくなってしまうのです。
他人の目が気になるという理由で、玄関に入ってから使いたくなるかもしれません。けれど、それでは効果がないと考えられています。ですから、少し恥ずかしい気持ちがあったとしても、玄関の外で行うようにしましょう。
マンションやアパートに住んでいる場合も同じです。エントランスではなく、自分の部屋の玄関ドアの前で使います。廊下で行うのは周りの目が気になるかもしれませんが、そこは昔からの習慣ですから、気にせず行って大丈夫です。
家族が留守番をしている場合は、家族に塩を振りかけてもらうのが理想的です。ただし、自分で振りかけても問題ありません。一人暮らしの方や、家族が外出中の場合は、自分でかければよいのです。
2. ひとつまみ程度の量を取る
お清め塩を使うときは、ひとつまみ程度の量を取ります。たくさん取る必要はなくて、親指と人差し指、中指の3本でつまむくらいの量で十分です。
塩をたくさん使えば効果が高まるというわけではありません。むしろ、少量でも丁寧に使うことのほうが大切だと言えるでしょう。服に塩がたくさん付きすぎると、後で払うのも大変になってしまいます。
袋から直接取るときは、清潔な手で行います。葬儀から帰ってきたばかりなので、手が汚れていることもあるかもしれません。できれば、玄関に置いてある小皿などに塩を出してから使うとよいでしょう。
ちなみに、お清め塩の袋を開けるときは、慌てずゆっくり開けてください。勢いよく開けると、塩がこぼれてしまうこともあります。落ち着いて丁寧に扱うことが、スムーズに使うコツです。
3. 胸・背中・足元の順にかける
お清め塩をかける順番は、胸、背中、足元という順序が基本です。この順番には意味があって、血液の流れる順番と同じなのです。邪気が血の巡りとともに体に流れ込まないようにという意味が込められています。
まず胸元に塩を振りかけたら、手で軽くはらいます。次に背中に振りかけて、同じように手ではらいます。自分で背中に塩を振りかけるのは少し難しいかもしれませんが、できる範囲で大丈夫です。
最後に足元に塩を振りかけます。足元は、地面に近い部分なので、邪気が入りやすいと考えられています。ですから、しっかりと塩を振りかけて払うようにしましょう。
近年では、足元だけに塩をかけるというやり方をする人も増えています。忙しいときや、簡略化したいときは、足元だけでも問題ないようです。ただし、本来の作法を大切にしたいなら、やはり胸・背中・足元の順に行うのが望ましいでしょう。
4. 手で軽く払い落とす
塩を振りかけたあとは、手で軽く払い落とします。強く払う必要はなくて、優しく払うだけで十分です。服に塩が付いたまま家に入るのは避けたいので、丁寧に払いましょう。
足元に落ちた塩は、そのまま踏んでから玄関に入ります。この塩を踏むという行為にも意味があって、最後に邪気を踏みつけるという意味が込められています。ですから、足元の塩は払いすぎずに、少し残しておくとよいのです。
玄関に入ったあとは、手を洗うのが一般的です。塩で清めたあとに、さらに水で手を洗うことで、より清潔な状態になります。昔は海辺で禊(みそぎ)をしたり、手に塩を付けて洗ったりする習慣もあったそうです。
すべて終わったら、お清め塩の袋は適切に処分します。袋自体は普通のゴミとして捨てて問題ありません。余った塩がある場合の処分方法は、後ほど詳しく紹介します。
お清め塩を使うタイミング
お清め塩を使うタイミングは、決まっています。適切なタイミングで使わないと、本来の意味が薄れてしまうかもしれません。ここでは、いつお清め塩を使うべきなのか、具体的に見ていきます。
1. 葬儀や通夜から帰宅したとき
お清め塩を使うのは、葬儀や通夜から帰宅したときです。葬儀場を出てすぐに使うわけではなくて、自宅に着いてから使います。移動中の電車やバスの中で使う必要はありません。
葬儀と通夜の両方に参列した場合は、それぞれの帰宅時に使います。つまり、2回使うことになるわけです。お清め塩は葬儀のときにもらうことが多いので、通夜のあとに使う分も確保しておくとよいでしょう。
火葬場に行った場合も同じです。火葬場から帰ってきたときにも、お清め塩を使います。ただし、地域や習慣によっては、火葬場で別の清めの儀式を行うこともあるようです。
ちなみに、葬儀場で食事をしたあとに帰宅する場合も、玄関に入る前に使います。食事をしたからといって、お清め塩を使わなくてよいわけではありません。帰宅したら、必ず玄関の前で使うようにしましょう。
2. 玄関をまたぐ前に行う
お清め塩は、玄関をまたぐ前に行うのが基本です。玄関のドアを開ける前、つまり家の外で使います。家の中に入ってしまってから使っても、効果がないと考えられているのです。
玄関の外といっても、敷地内であれば問題ありません。たとえば、一戸建ての場合は、門を入ってから玄関ドアの前で使えばよいでしょう。庭がある家なら、玄関の前の庭で行っても大丈夫です。
大切なのは、家の中に入る直前に使うということです。敷地に入ってすぐに使って、そのあと庭を歩き回ってから家に入るというのは、あまり意味がないかもしれません。できるだけ玄関の近くで使うのが理想的です。
雨の日や寒い日は、早く家に入りたくなるものです。けれど、そんなときこそ落ち着いて、玄関の前でお清め塩を使いましょう。ほんの少しの時間ですから、きちんと習慣を守ることが大切です。
3. マンションでも同じタイミングで
マンションやアパートに住んでいる場合も、タイミングは同じです。自分の部屋の玄関ドアの前で、お清め塩を使います。エントランスで使う必要はありません。
マンションの廊下は共用部分なので、他の住人の目が気になるかもしれません。けれど、お清め塩を使うのは昔からの習慣ですから、堂々と行って大丈夫です。ただし、塩が廊下に散らばらないように、丁寧に使いましょう。
高層マンションの場合、エレベーターを降りてから自分の部屋まで歩く距離が長いこともあります。それでも、自分の部屋の玄関ドアの前で使うのが正しいタイミングです。エレベーターホールで使うのは避けましょう。
シェアハウスに住んでいる場合は、自分の個室の前で使います。共有スペースではなく、プライベートな空間に入る前に使うのが基本です。ルームメイトがいる場合は、事前に声をかけておくと、理解してもらえるかもしれません。
余ったお清め塩の処分方法
お清め塩を使ったあと、袋の中に塩が余ることがあります。この余った塩をどう処分すればよいのか、迷う人も多いのではないでしょうか。実は、いくつかの処分方法があって、どれを選んでも問題ありません。ここでは、一般的な処分方法を紹介します。
1. 生ゴミとして捨てる
余ったお清め塩は、生ゴミとして捨てることができます。自治体の規定に従って、一般的な可燃ゴミとして処分すれば大丈夫です。清められた塩を捨てたからといって、バチが当たることはありません。
捨てるときは、そのままゴミ袋に入れるのではなく、一度紙やティッシュに包むとよいでしょう。白い紙や半紙があれば、それに包むのが理想的です。そうすることで、丁寧に扱っているという気持ちが表れます。
生ゴミの殺菌に使うという方法もあります。生ゴミを捨てるときに、お清め塩を一緒に入れると、消臭や殺菌の効果が期待できます。これなら、塩を無駄にすることなく活用できるわけです。
ただし、お清め塩は食用として作られていません。ですから、料理に使ったり、食卓塩の代わりにしたりするのは避けましょう。あくまでも清めるために使われた塩だということを忘れないでください。
2. トイレに流す
トイレに流して処分する方法もあります。水とともに浄化の意味を持たせる処分方法で、風水やスピリチュアル的な観点からもおすすめされています。
流すときは、塩をそっと集めてから、トイレの便器に静かに入れます。そして「ありがとうございました」と感謝の気持ちを込めて流しましょう。一度に流さず、2回ほどに分けて流すのがよいようです。
トイレの排水管が詰まる心配をする人もいるかもしれません。けれど、お清め塩はごく少量なので、詰まる可能性は低いでしょう。ただし、心配な場合は、他の方法を選ぶのが無難です。
キッチンの排水口に流すという方法もあります。キッチンなら毎日使う場所なので、気軽に流せるかもしれません。排水口の掃除や消臭にもなって、一石二鳥です。
3. 庭や玄関先に撒く
庭や玄関先に撒くという方法もあります。自然に還すという意味で、この方法を選ぶ人も多いようです。
庭に撒く場合は、邪魔にならない場所を選びましょう。植物の近くに撒くと、塩分で植物が枯れてしまうこともあります。ですから、植物がない場所や、玄関先のコンクリート部分に撒くのがよいでしょう。
玄関先に撒くときは、少量ずつ撒きます。一度にたくさん撒くと、見た目にも目立ってしまいます。薄く広げるようにして撒けば、雨が降ったときに自然に流れていくはずです。
マンションやアパートに住んでいる場合は、庭がないかもしれません。その場合は、ベランダに撒くこともできます。ただし、下の階に迷惑がかからないように注意が必要です。
4. 排水口に流す
キッチンやお風呂の排水口に流すという方法もあります。排水口の掃除や消臭にもなるので、実用的な処分方法です。
キッチンの排水口に流すときは、水と一緒に流します。そのまま塩を入れて、水を流せば大丈夫です。排水口の汚れや臭いが気になっている場合は、ちょうどよい機会かもしれません。
お風呂の排水口に流すこともできます。お風呂掃除をするときに、塩を流してから水で洗い流せばよいでしょう。塩には殺菌効果があるので、排水口を清潔に保つのに役立ちます。
洗面所の排水口に流すという選択肢もあります。洗面所なら毎日使う場所なので、気軽に流せるはずです。朝の洗顔のときに流してしまえば、手間もかかりません。
お清め塩がもらえなかったら?
葬儀に参列したけれど、お清め塩がもらえなかったということもあります。宗派や地域によっては、お清め塩を配らないこともあるのです。そんなとき、どうすればよいのでしょうか。ここでは、お清め塩がもらえなかった場合の対処法を紹介します。
1. 自宅の食塩で代用できる
お清め塩がもらえなかった場合は、自宅にある食塩で代用できます。普通の食卓塩でも問題ありません。大切なのは、塩を使って身を清めるという儀式的な行為そのものなのです。
家族に頼んで持ってきてもらうこともできます。あらかじめ玄関の外に用意しておいてもらえば、スムーズに使えるでしょう。一人暮らしの場合は、帰宅してから一度家に入って塩を取り、改めて玄関の外で使う方法もあります。
ただし、できれば玄関に入る前に使いたいものです。ですから、葬儀に参列する前に、念のため小さな袋に塩を入れて持っていくとよいかもしれません。そうすれば、お清め塩がもらえなくても安心です。
食塩で代用するときも、使い方は同じです。胸、背中、足元の順に振りかけて、手で軽く払います。量もひとつまみ程度で十分です。
2. 海塩を使うのが望ましい
食塩で代用する場合、海塩を使うのが望ましいとされています。お清め塩に使用する塩は、海水100%の塩が理想的なのです。
海水由来の塩が手に入らない場合は、普通の食卓塩でも代用できます。けれど、海塩のほうが本来の意味に近いでしょう。スーパーやコンビニで海塩を買うこともできるので、可能なら海塩を選びたいものです。
海塩といっても、高価なものを選ぶ必要はありません。手頃な価格の海塩で十分です。袋に「海塩」や「海水使用」と書かれているものを選べばよいでしょう。
ちなみに、岩塩は避けたほうがよいかもしれません。岩塩は海水由来ではないので、お清め塩の代用としては適していないと考えられています。できるだけ海水から作られた塩を選ぶようにしましょう。
3. 粗塩や天然塩でも大丈夫
粗塩や天然塩でも代用できます。粗塩は粒が大きいので、扱いやすいかもしれません。天然塩はミネラルが豊富で、海水由来のものが多いので、お清め塩の代用に適しています。
粗塩を使うときは、そのまま使っても大丈夫です。粒が大きいので、ひとつまみの量が多くなりすぎないように気をつけましょう。少なめに取るくらいでちょうどよいはずです。
天然塩は、スーパーの調味料コーナーで売られています。値段は少し高めですが、品質がよいので安心して使えます。お清め塩の代用として買うなら、天然塩を選ぶのもよい選択でしょう。
精製塩よりも、粗塩や天然塩のほうが好ましいと言えます。精製塩は加工されているので、自然の力が弱まっているかもしれません。できるだけ自然に近い塩を使うことで、清めの効果が高まると考えられています。
お清め塩を使い忘れて家に入ってしまったら?
お清め塩を使い忘れて、そのまま家に入ってしまったということもあるかもしれません。疲れていたり、うっかりしていたりすると、忘れてしまうこともあるものです。そんなとき、どうすればよいのでしょうか。
1. 気にしすぎなくても大丈夫
お清め塩を使い忘れて家に入ってしまっても、あまり気にする必要はありません。現代では、お清め塩は習慣的な儀式であって、絶対に必要なものではないのです。
昔の人々は、死を穢れとして恐れていました。けれど、現代ではそのような考え方も薄れてきています。仏教では本来、死を穢れとは考えていませんし、浄土真宗ではお清め塩を使わないことが多いのです。
ですから、使い忘れたからといって、悪いことが起こるわけではありません。罰が当たることもないので、安心してください。大切なのは、故人を偲ぶ気持ちや、葬儀に参列したという事実です。
とはいえ、気持ちの問題として、やはり使いたかったという人もいるでしょう。その場合は、次に紹介する方法を試してみてください。
2. 気になるなら改めて玄関で使う
どうしても気になるなら、改めて玄関で使うこともできます。一度家に入ってしまったあとでも、もう一度玄関の外に出て、お清め塩を使えばよいのです。
やり方は同じです。玄関のドアを開けて外に出て、お清め塩を胸、背中、足元の順に振りかけます。そして手で軽く払ってから、改めて家に入りましょう。
お清め塩がない場合は、自宅の食塩を使います。海塩や粗塩があれば、それを使うのが理想的です。小さな袋や器に塩を入れて、玄関の外に持っていきましょう。
ただし、これはあくまでも気持ちの問題です。絶対にやらなければいけないわけではありません。自分が納得できるかどうか、それだけが基準だと言えるでしょう。
3. 次回から意識すればよい
使い忘れてしまったときは、次回から意識すればよいのです。今回は忘れてしまったけれど、次に葬儀に参列するときは気をつけようと思えば、それで十分ではないでしょうか。
人間は完璧ではありませんから、うっかり忘れることもあります。大切なのは、その経験から学んで、次に生かすことです。忘れてしまったことをいつまでも気に病む必要はありません。
次回のために、お清め塩の使い方を覚えておきましょう。この記事を読んだことで、正しいかけ方や順番がわかったはずです。次に葬儀に参列するときは、スムーズに使えるでしょう。
ちなみに、玄関に「お清め塩を使う」というメモを貼っておくのもよい方法です。帰宅したときに目に入れば、忘れずに済むはずです。スマートフォンにリマインダーを設定しておくのも効果的かもしれません。
お清め塩が必要ない場合もある?
実は、お清め塩が必要ない場合もあります。宗派や状況によって、お清め塩を使わないことも多いのです。ここでは、お清め塩が必要ない場合について見ていきます。
1. 浄土真宗では使わない
浄土真宗では、お清め塩を使わないことが多いです。「死は穢れではない」という考え方が根本にあるからです。
浄土真宗では、亡くなった方は仏になると考えます。死を忌み嫌う風習がなく、塩を使うことがむしろ不要とされているのです。清め塩を使うことは、死者に対して失礼にあたると考えられています。
ですから、浄土真宗の葬儀では、お清め塩が配られないことがほとんどです。もし浄土真宗の葬儀に参列した場合は、お清め塩を使う必要はありません。
ただし、他の仏教の宗派では、お清め塩を配ることもあります。仏教全般で使わないわけではなく、浄土真宗が特に厳格に守っているという感じです。とはいえ、近年では他の宗派でも、お清め塩を配らない葬儀が増えてきています。
2. キリスト教でも使わない
キリスト教の葬儀でも、お清め塩は使いません。キリスト教には、死を穢れとする考え方がないからです。
キリスト教では、死は神のもとに召されることだと考えられています。ですから、塩で清める必要がないのです。キリスト教の葬儀に参列した場合は、お清め塩をもらうこともありませんし、使う必要もありません。
イスラム教やヒンドゥー教など、他の宗教でも同様です。お清め塩は、日本の神道や仏教(浄土真宗を除く)の習慣であって、すべての宗教で共通するものではありません。
ですから、葬儀の宗教を確認しておくことも大切です。お清め塩が配られなかったからといって、忘れられたわけではないのです。宗教の違いによるものだと理解しましょう。
3. 家族の葬儀では使わないことも
家族の葬儀では、お清め塩を使わないこともあります。家族は穢れを受ける対象ではないという考え方があるからです。
神道では、死に際して寄り付いてきた邪気を祓うという意味でお清め塩を使います。けれど、家族の死は邪気ではないと考える人も多いのです。大切な家族を清めるという行為に、抵抗を感じる人もいるでしょう。
ですから、家族の葬儀では、あえてお清め塩を使わないという選択もあります。これは個人の判断によるものなので、使っても使わなくてもどちらでも構いません。
最近では、お清め塩の習慣自体が薄れてきています。葬儀社も、あえてお清め塩を配らないことが増えているようです。時代とともに、習慣も変わっていくものなのかもしれません。
お清め塩に込められた意味
お清め塩には、どのような意味が込められているのでしょうか。ただ塩を振りかけるだけではなく、そこには深い意味があります。ここでは、お清め塩に込められた意味を見ていきます。
1. 穢れを払うという考え方
お清め塩の根本にあるのは、穢れを払うという考え方です。古来から、日本では死を穢れたものとして見てきました。
穢れとは、死や疫病などによって生じると信じられている不浄な状態のことです。神道においては、罪や災いとともに、周囲にまで異常をもたらす危険な状態とみなされ、避け忌まれてきました。
葬儀に携わった人は、この穢れを受けると考えられていました。ですから、身を清めなければ日常生活に戻れないとされたのです。葬儀の帰り道に海辺で禊をしたり、手に塩を付けて洗ったりしたのも、そのためです。
ただし、穢れを払うといっても、故人の霊を清めるわけではありません。あくまでも、人の死に際して寄り付いてきた邪気を祓うという意味です。決して故人を冒涜しているわけではないのです。
2. 神道の思想が由来
お清め塩は、神道の思想が由来です。神道では、死は穢れとされており、その穢れを祓うために塩が使われます。
神道における穢れは、死そのものを指します。死んだ人自体を指すわけではありません。けれど、そうと理解していても、塩で清めることに抵抗を感じる人もいるでしょう。
神道では、死者の穢れは恐怖の対象であり、生きている者に伝染すると考えられていました。そのため、遺体や、遺体に接した人は「穢れに染まっている」とされ、清められるべきものでした。
このような神道の考え方が、仏教にも取り入れられました。本来、仏教には死を穢れとする教えはありません。けれど、神仏習合の流れの中で、お清め塩の習慣が広まっていったのです。
3. 塩の持つ浄化の力
塩には、昔から浄化の力があると信じられてきました。塩を用いることで、腐敗などを抑えることができるからです。
塩は保存食にも使われてきました。肉や魚を塩漬けにすることで、長期間保存できるようになります。この殺菌作用が、浄化の力として信じられるようになったのでしょう。
また、塩は海水から作られます。海は命の源であり、清らかなものとされています。その海から採れる塩には、自然の浄化の力が宿っていると考えられてきました。
ですから、お清め塩には海水由来の塩が望ましいのです。海水100%の塩を使うことで、より高い浄化の効果が期待できると信じられています。自然の力を借りて、穢れを払うという意味が込められているのです。
お清め塩を使うときの注意点
お清め塩を使うときには、いくつか注意しておきたいことがあります。正しく使うことも大切ですが、それ以上に大切なことがあるのです。ここでは、お清め塩を使うときの注意点を見ていきます。
1. 無理に使う必要はない
お清め塩は、無理に使う必要はありません。抵抗感があるなら、使わなくても大丈夫です。
現代では、お清め塩は習慣的な儀式であって、絶対に必要なものではないのです。使わないからといって、悪いことが起こるわけではありません。罰が当たることもないので、安心してください。
大切なのは、故人を偲ぶ気持ちです。お清め塩を使うかどうかよりも、葬儀に参列して故人を送り出すという行為のほうが重要でしょう。形式にとらわれすぎず、自分の気持ちに正直になることが大切です。
ただし、家族や親戚が使うことを望んでいる場合は、配慮が必要かもしれません。年配の方の中には、お清め塩を使わないことに不安を感じる人もいます。家族の気持ちも考えながら、判断しましょう。
2. 宗派によって考え方が違う
宗派によって、お清め塩に対する考え方が違います。浄土真宗では使わないことが多いですし、キリスト教でも使いません。
自分の宗派や、葬儀を行う宗派を確認しておくことが大切です。お清め塩が配られなかった場合は、その宗派では使わないという意味かもしれません。無理に自分で用意して使う必要はないのです。
また、地域によっても習慣が異なります。ある地域ではお清め塩を使うのが当たり前でも、別の地域では使わないこともあります。引っ越しをした場合は、その土地の習慣を確認しておくとよいでしょう。
宗派や地域の違いを理解することで、柔軟に対応できるようになります。お清め塩に対する考え方は、一つではないのです。
3. 気持ちが大切
お清め塩を使うときに、最も大切なのは気持ちです。形式的に使うのではなく、心を込めて使うことが重要でしょう。
故人への感謝の気持ち、葬儀に参列できたことへの安堵の気持ち、そして日常に戻るための気持ちの切り替え。お清め塩を使うという行為は、こうした気持ちを整理するための儀式でもあるのです。
ですから、ただ塩を振りかけるだけではなく、静かに故人を思い浮かべながら使いましょう。そうすることで、お清め塩を使う意味が深まるはずです。
余った塩を処分するときも、「ありがとうございました」という感謝の気持ちを込めることが大切です。雑に捨てるのではなく、丁寧に扱うことで、気持ちに区切りをつけることができるでしょう。
お清め塩のよくある疑問
お清め塩について、よくある疑問をまとめました。細かい点で迷うことも多いかもしれません。ここでは、代表的な疑問に答えていきます。
1. 食用やバスソルトに使える?
お清め塩を食用やバスソルトに使えるかという疑問は、よく聞かれます。結論から言うと、食用として使うのは避けたほうがよいでしょう。
お清め塩は、食用として作られていません。清めるために使われた塩なので、料理に使ったり、食卓塩の代わりにしたりするのは適切ではないのです。衛生面でも不安がありますし、本来の用途とは異なります。
バスソルトとして使うのも、おすすめできません。お清め塩は少量なので、お風呂に入れてもあまり効果がないでしょう。それよりも、きちんと処分したほうが気持ちもすっきりするはずです。
ただし、生ゴミの殺菌に使うのは問題ありません。塩には殺菌作用があるので、生ゴミを捨てるときに一緒に入れれば、消臭や殺菌の効果が期待できます。これなら、塩を無駄にすることなく活用できるでしょう。
2. どのくらいの量をかければいい?
お清め塩をかける量は、ひとつまみ程度で十分です。親指と人差し指、中指の3本でつまむくらいの量が目安でしょう。
たくさんかければ効果が高まるというわけではありません。むしろ、少量でも丁寧に使うことのほうが大切です。服に塩がたくさん付きすぎると、後で払うのも大変になってしまいます。
胸、背中、足元の3か所にかけるので、合計で3つまみくらい使うことになります。お清め塩の袋には、だいたい5グラムから10グラムくらいの塩が入っています。3つまみ使っても、まだ余るはずです。
余った塩は、先ほど紹介した方法で処分しましょう。生ゴミとして捨てたり、トイレに流したり、庭に撒いたりすればよいのです。
3. 家族が手伝ってもいい?
家族が手伝ってくれることは、むしろ望ましいと言えます。自宅に留守番をしている家族がいる場合は、家族に塩を振りかけてもらうのが理想的です。
家族に手伝ってもらうときは、塩を渡して、胸、背中、足元の順にかけてもらいましょう。自分で背中に塩を振りかけるのは難しいので、家族に手伝ってもらえると楽です。
ただし、家族が外出中だったり、一人暮らしだったりする場合は、自分で行っても問題ありません。自分で振りかけても、清めの効果は変わらないのです。
子どもに手伝ってもらうこともできます。お清め塩の使い方を教える、よい機会になるかもしれません。ただし、小さな子どもの場合は、塩をこぼしてしまうこともあるので、注意が必要です。
まとめ
お清め塩は、葬儀から帰宅したときに体を清めるための塩です。胸、背中、足元の順に振りかけて、手で軽く払うという使い方が基本でしょう。余った塩は生ゴミとして捨てたり、トイレに流したり、庭に撒いたりして処分できます。
もしお清め塩がもらえなかった場合は、自宅の食塩で代用しても問題ありません。海塩を使うのが望ましいですが、普通の食卓塩でも大丈夫です。使い忘れて家に入ってしまっても、気にしすぎる必要はないでしょう。
大切なのは、故人を偲ぶ気持ちです。お清め塩を使うかどうかは、宗派や個人の考え方によって異なります。形式にとらわれすぎず、自分の気持ちに正直になることが重要ではないでしょうか。葬儀のあとは、ゆっくりと休んで、心と体を整えてください。
