七草粥に無病息災を願う理由とは?歴史と春の七草の覚え方を解説!
「七草粥を1月7日に食べると、その年は病気をしない」という話を聞いたことはありませんか?
お正月のごちそうが続いた後の七草粥は、どこか優しい味わいがします。でもなぜ七草粥を食べると無病息災につながるのでしょうか。そこには日本の伝統や中国から伝わった文化、そして自然の力への感謝が込められています。ここでは七草粥の歴史や由来、春の七草の種類や覚え方をわかりやすく紹介していきます。
七草粥に無病息災を願う理由とは?
七草粥に無病息災を願うのには、単なる縁起担ぎだけではない理由があります。若草の力や胃腸を休める効果、邪気を払う意味が組み合わさることで、一年の健康を願う風習として定着していったのです。
1. 若草の生命力を取り入れる意味
春の七草は、寒い冬を越えて芽吹く若草です。
雪の下でじっと耐えながら育った植物には、力強い生命力が宿っていると昔から考えられていました。その若草を食べることで、私たちの体にもその生命力が取り込まれると信じられてきたのです。
実際に七草は、冬に不足しがちなビタミンやミネラルを豊富に含んでいます。昔の人はそうした栄養の知識がなくても、経験的に若草を食べると体が元気になることを知っていたのでしょう。自然の恵みに感謝しながら、健康を願う気持ちが七草粥には込められています。
春の訪れを感じる若草を口にすることで、新しい季節の始まりを体で感じられるというわけです。
2. お正月で疲れた胃腸を休める役割
お正月にはおせち料理やお雑煮、ごちそうが続きます。
味の濃い料理やお酒を飲む機会も増えて、気づかないうちに胃腸には負担がかかっているものです。そんなタイミングで食べる七草粥は、疲れた胃腸を優しくいたわってくれます。
お粥というシンプルな食事形態は、消化に良く胃腸への負担が少ないのが特徴です。七草に含まれる食物繊維や酵素は、消化を助ける働きもあります。特にスズシロ(大根)やスズナ(カブ)には消化酵素が含まれているため、胃もたれを和らげる効果が期待できるのです。
七草粥は、現代で言うところのデトックスのような役割を果たしていたと言えるかもしれません。胃腸を休めることで体全体の調子が整い、結果として健康につながるという考え方です。
3. 邪気を払い健康を保つ願い
七草粥には、邪気を払うという意味も込められています。
昔は病気の原因がわからなかったため、病は邪気によってもたらされると考えられていました。1月7日は「人日の節句」という五節句のひとつで、特別な日とされていたのです。この日に七草粥を食べることで、一年間の邪気を払い、健康に過ごせると信じられてきました。
また、七という数字は古くから縁起の良い数字とされています。七草それぞれに縁起の良い意味が込められていて、これらを組み合わせることで、より強い願いが込められると考えられていました。
科学的な根拠というよりも、信仰や願いに基づいた風習ではありますが、こうした気持ちを持つこと自体が前向きな心を育て、健康につながるのかもしれません。
七草粥の歴史と日本への伝わり方
七草粥の歴史をたどると、中国から伝わった文化と日本古来の風習が融合していったことがわかります。時代とともに形を変えながら、今日まで受け継がれてきた七草粥には、長い歴史が刻まれているのです。
1. 中国の唐時代から始まった風習
七草粥のルーツは、中国の唐時代にさかのぼります。
当時の中国では、1月7日を「人日」と呼び、七種類の若菜を入れた汁物「七種菜羹」を食べる風習がありました。この日は人を大切にする日とされ、罪人への刑罰も行わない特別な日だったそうです。
なぜ1月7日が人日なのかというと、中国の古い暦では1日から6日までそれぞれ動物の日が当てられていて、7日目が人の日とされていたからです。鶏、犬、猪、羊、牛、馬ときて、最後に人という順番になっていました。
この風習が日本に伝わってきたのは、奈良時代から平安時代にかけてと言われています。中国の文化を積極的に取り入れていた時代だったため、宮中の行事としても採用されるようになりました。
2. 日本の若菜摘みと融合した経緯
日本には元々、年の初めに若菜を摘む「若菜摘み」という風習がありました。
春の訪れを告げる若草を摘んで食べることで、自然の力を体に取り入れるという日本古来の習慣です。万葉集や古今和歌集にも若菜摘みを詠んだ歌が数多く残されていて、平安貴族たちにとって季節を感じる大切な行事だったことがわかります。
中国から伝わった七種菜羹の風習と、日本の若菜摘みの習慣が結びついて、日本独自の七草粥が生まれました。中国では汁物でしたが、日本ではお粥として食べるようになったのです。
この融合によって、七草粥は単なる外来の風習ではなく、日本の風土や季節感に合った行事へと変化していきました。使われる七草も、日本で手に入りやすい野草が選ばれるようになったのです。
3. 平安時代から江戸時代への広がり
平安時代、七草粥は宮中の行事として定着しました。
天皇や貴族たちが1月7日に七草粥を食べる儀式が行われ、これが公式な年中行事となっていったのです。当時の貴族にとって、七草粥を食べることは教養や季節感を大切にする証でもありました。
しかし、この頃はまだ庶民には広まっていませんでした。七草を揃えることも簡単ではなく、限られた階層の人々だけの風習だったのです。
庶民の間に七草粥が広まったのは、江戸時代になってからです。江戸幕府が人日の節句を五節句のひとつとして公式に定めたことで、七草粥を食べる習慣が全国に広がっていきました。町人文化が発展した江戸時代には、七草を売り歩く商人も現れて、一般家庭でも七草粥を楽しめるようになったそうです。
1月7日に七草粥を食べる理由
なぜ1月7日なのか、そして何時に食べるのが良いのか。七草粥を食べる日時には、実は意味があります。喪中の場合はどうすれば良いのかという疑問も含めて見ていきましょう。
1. 人日の節句という五節句のひとつ
1月7日は「人日の節句」と呼ばれる、五節句のひとつです。
五節句とは、江戸幕府が定めた季節の節目となる日のことで、人日の節句のほかに、3月3日の上巳の節句(桃の節句)、5月5日の端午の節句、7月7日の七夕の節句、9月9日の重陽の節句があります。
人日の節句だけ少しわかりにくい名前ですが、これは先ほど触れたように中国の暦で1月7日が人の日とされていたことに由来しています。他の節句には桃や菖蒲、菊といった植物の名前がついていますが、人日だけは人を大切にする日という意味が込められているのです。
節句には邪気を払い、無病息災を願う意味があります。そのため人日の節句に七草粥を食べることは、単なる食事ではなく、年中行事としての意味を持っているというわけです。
2. 七草粥を食べる時間帯
七草粥は朝食として食べるのが一般的です。
朝に食べることで、一日の始まりに体を整え、邪気を払うという意味があると言われています。お正月の疲れが残る胃腸に、朝一番の優しいお粥は理にかなった食事とも言えるでしょう。
ただし、現代では生活スタイルも多様化しています。朝食で食べられなかったとしても、昼食や夕食で七草粥を楽しむ家庭も増えているようです。大切なのは1月7日に七草粥を食べるという行事を続けることであって、時間帯にこだわりすぎる必要はないかもしれません。
前日の1月6日の夜に七草を刻む風習もあります。「七草なずな」という歌を歌いながらまな板で七草を叩く音を立てることで、邪気を払うとされていました。
3. 喪中でも食べて良い理由
喪中の期間でも、七草粥は食べて問題ありません。
七草粥は縁起を担ぐ行事食ではありますが、お祝い事ではないからです。むしろ健康を願い、胃腸を休めるという実用的な意味合いが強い食事と言えます。
喪中の間は祝い事や派手な行事を控えるのが一般的ですが、七草粥のようなシンプルで体を気遣う食事は、むしろ心身を整えるために良いものと考えられています。
ただし、七草粥を食べる際に大勢で集まって賑やかに過ごすといった場合は、喪中の期間や状況に応じて配慮することも大切です。静かに家族で食べる分には、何も問題ないと言えるでしょう。
春の七草とは?種類と特徴
春の七草は、それぞれに個性と特徴があります。普段は意識しない野草も、じっくり見てみると面白い由来や姿をしているものです。ここでは七草それぞれの名前の由来や見た目の特徴を紹介していきます。
1. セリ:競り合うように育つ若草
セリは水辺に自生する植物で、茎が競り合うように密集して生えることから名付けられました。
独特の香りがあり、その香りが食欲をそそります。セリという名前には「競り勝つ」という縁起の良い意味も込められていて、勝負事や目標達成を願う気持ちが込められているのです。
春先の田んぼの畔や小川のそばで見かけることが多く、昔から身近な野草として親しまれてきました。葉は細かく分かれていて、さわやかな緑色をしています。
現代では栽培されたセリもスーパーで手に入りますが、野生のセリはより香りが強く、春の訪れを感じさせてくれる植物です。
2. ナズナ:ペンペン草とも呼ばれる野草
ナズナは、ペンペン草という別名で知られる身近な野草です。
種の部分が三味線のバチのような形をしていて、茎を持って振るとペンペンと音がすることからこの名前がつきました。子どもの頃に遊んだ記憶がある方もいるのではないでしょうか。
ナズナには「撫でて汚れを取り除く」という意味が込められています。邪気を払い、清らかな気持ちで新しい年を過ごすという願いが込められているのです。
春になると白い小さな花を咲かせ、道端や空き地でもよく見かけます。葉はロゼット状に地面に広がっていて、寒さに強い植物です。
3. ゴギョウ:母子草の古名
ゴギョウは、現代では母子草と呼ばれることが多い植物です。
御形という漢字が当てられることもあり、仏様のお姿を表すという意味が込められています。黄色い小さな花が集まって咲く様子が特徴的で、全体に白い綿毛がついているため、優しい印象を与える植物です。
ゴギョウには「仏の体」という縁起の良い意味があります。神聖なものとして扱われ、無病息災を願う気持ちが込められているのです。
春の野原で群生している姿をよく見かけますが、小さくて目立たない植物なので、意識しないと見過ごしてしまうかもしれません。
4. ハコベラ:繁栄を願う薬草
ハコベラは、ハコベという名前でも知られる小さな野草です。
茎が地面を這うように広がって育ち、繁殖力が強いことから「繁栄」の象徴とされています。子孫繁栄や家の繁栄を願う意味が込められているのです。
白い小さな花を咲かせ、葉は柔らかくて食べやすい特徴があります。昔から薬草としても使われていて、胃腸の働きを助ける効果があるとされてきました。
小鳥のえさとしても知られていて、特にセキセイインコやカナリアなどがハコベを好んで食べます。庭や畑の雑草として見かけることも多い植物です。
5. ホトケノザ:仏の台座に似た葉
ホトケノザという名前ですが、春に紫の花を咲かせる同名の植物とは別物です。
七草に使われるホトケノザは、コオニタビラコという植物のことを指します。葉が地面に広がる様子が、仏様が座る蓮華座に似ていることから名付けられました。
「仏の安座」という意味が込められていて、家族の安泰や平和を願う気持ちが込められています。黄色い小さな花を咲かせ、ロゼット状に広がる葉が特徴です。
春の田んぼでよく見かける植物ですが、近年は減少傾向にあるとも言われています。ゴギョウと同じように小さくて目立たない植物なので、見分けるのは少し難しいかもしれません。
6. スズナ:小さなカブの別名
スズナは、実はカブのことです。
鈴のような丸い形をしていることから「鈴菜」と名付けられました。神を呼ぶ鈴という意味も込められていて、縁起の良い野菜とされています。
七草粥に使うのは、若いカブの葉と小さな根の部分です。葉は緑色で柔らかく、根は白くて甘みがあります。現代でもスーパーで簡単に手に入る食材なので、七草の中では最も馴染み深いものかもしれません。
カブは古くから日本で栽培されてきた野菜で、春の七草に選ばれたのも自然なことだったのでしょう。栄養価も高く、ビタミンやミネラルを豊富に含んでいます。
7. スズシロ:大根の古い呼び方
スズシロは、大根の古い呼び名です。
「清白」という漢字が当てられることもあり、汚れのない純白という意味が込められています。邪気を払い、清らかな気持ちで一年を始めるという願いが込められているのです。
スズナと同じく、七草粥には若い大根の葉と小さな根を使います。大根の葉はビタミンが豊富で、根には消化を助ける酵素が含まれているため、お正月で疲れた胃腸を休めるのにぴったりです。
大根も日本の食卓に欠かせない野菜で、一年中手に入りますが、春先の若い大根は特に柔らかくて美味しいとされています。七草の中では最も実用的な食材と言えるかもしれません。
春の七草の覚え方3選
七草の名前を覚えるのは、慣れないと意外と難しいものです。でも昔から伝わる覚え方を使えば、リズムに乗せて楽しく覚えられます。ここでは代表的な覚え方をいくつか紹介していきましょう。
1. 短歌調のリズムで覚える方法
最も有名な覚え方は、短歌のリズムに合わせた方法です。
「せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ、春の七草」というフレーズを聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。五・七・五・七・七のリズムに合わせて唱えることで、自然と覚えられる仕組みになっています。
「せり・なずな」で五文字、「ごぎょう・はこべら」で七文字、「ほとけのざ」で五文字、「すずな・すずしろ」で七文字、「春の七草」で七文字です。このリズム感が心地よく、何度か口に出すだけで記憶に残りやすくなります。
昔の人はこうした語呂合わせやリズムを使って、さまざまな知識を伝承してきました。文字が読めない人でも覚えられるように、音で覚える工夫がされていたのです。
2. 語呂合わせで楽しく覚えるコツ
短歌調が覚えにくい場合は、自分なりの語呂合わせを作るのも良い方法です。
たとえば「セリ・ナズ・ゴハコホ・スズスズ」と区切って覚える方法もあります。セリとナズナ、ゴギョウ・ハコベラ・ホトケノザ、スズナとスズシロという具合に、グループ分けして覚えるわけです。
また、頭文字だけを取って「せなごはほすす」と覚える方法もあります。意味はありませんが、リズムが良く覚えやすいと感じる人もいるでしょう。
自分が覚えやすいと感じる方法が一番です。子どもと一緒に覚える場合は、楽しいリズムや面白い語呂合わせを作ると、親子で楽しみながら覚えられます。
3. 効能とセットで覚える工夫
七草それぞれの効能や特徴とセットで覚えると、より記憶に残りやすくなります。
- セリ:香りが良い水辺の草
- ナズナ:ペンペン草で子どもも知ってる
- ゴギョウ:母子草の黄色い花
- ハコベラ:小鳥も食べる薬草
- ホトケノザ:仏様の台座みたいな葉
- スズナ:カブのこと
- スズシロ:大根のこと
こうした特徴を一緒に覚えることで、ただの名前の暗記ではなく、実際の植物の姿とリンクして記憶できます。スーパーで七草セットを買ったときに、実物を見ながら確認するとさらに覚えやすいでしょう。
実際に七草粥を作る際に、ひとつひとつ手に取りながら名前を唱えると、体験と結びついて忘れにくくなります。行事を通して学ぶというのは、昔から続く知恵の伝え方なのかもしれません。
各七草に込められた縁起と効能
七草にはそれぞれ縁起の良い意味と、体に良い効能があります。昔の人は経験的に野草の力を知っていて、それを生活に取り入れてきました。ここでは各七草の縁起と効能を詳しく見ていきましょう。
1. セリの縁起と栄養成分
セリには「競り勝つ」という縁起が込められています。
競争に勝つ、目標を達成するという願いが込められていて、新しい年に何かを成し遂げたいと思う人にぴったりです。セリ独特の香りは、精神を落ち着かせる効果があるとも言われています。
栄養面では、ビタミンCや鉄分、カリウムが豊富に含まれています。鉄分は貧血予防に役立ち、カリウムは体内の余分な塩分を排出する働きがあるのです。
セリの香り成分には、食欲を増進させる効果もあります。お正月の食べ過ぎで食欲が落ちているときでも、セリの香りが食欲を呼び戻してくれるかもしれません。
2. ナズナの縁起と健康効果
ナズナには「撫でて汚れを除く」という意味があります。
邪気を払い、清らかな心で一年を過ごすという願いが込められているのです。ペンペン草という親しみやすい名前も、庶民に愛されてきた理由のひとつでしょう。
ナズナには、利尿作用や解熱作用があるとされています。むくみを解消したり、体の熱を冷ましたりする効果が期待できるのです。
また、ビタミンAやビタミンKが豊富で、目の健康や骨の健康に役立ちます。小さな野草ですが、栄養価は意外と高く、昔から薬草としても使われてきました。
3. ゴギョウの縁起と薬効
ゴギョウは「仏の体」を表し、神聖な植物とされています。
無病息災を願う気持ちが強く込められていて、特に健康面での願いが込められた七草と言えるでしょう。全体に白い綿毛がついている姿も、どこか神々しい印象を与えます。
薬効としては、咳止めや痰を切る効果があるとされてきました。喉の調子が悪いときや風邪の初期症状に良いとされ、民間療法でも使われてきた植物です。
また、ゴギョウには体を温める作用もあると言われています。冬の寒さで冷えた体を温め、血行を良くする効果が期待できるのです。
4. ハコベラの縁起と効果
ハコベラには「繁栄」の意味が込められています。
繁殖力が強く、どんどん広がって育つことから、家の繁栄や子孫繁栄を願う気持ちが込められているのです。新しい年に家族が健康で繁栄することを願う、縁起の良い七草と言えます。
ハコベラは、胃腸の働きを整える効果があるとされています。お正月の食べ過ぎで胃が疲れているときに、胃の粘膜を保護し、消化を助けてくれるのです。
また、歯ぐきを丈夫にする効果もあると言われていて、昔は歯磨き粉の代わりに使われることもありました。小鳥のえさとしても知られていることから、体に優しい植物であることがわかります。
5. ホトケノザの縁起と働き
ホトケノザは「仏の安座」を意味し、家族の安泰を願う植物です。
葉が蓮華座のように広がる姿から、仏様が安らかに座っている様子に見立てられました。家族が安心して暮らせることを願う、温かい気持ちが込められています。
ホトケノザには、食欲を増進させる効果があるとされています。苦味成分が胃腸の働きを活発にし、消化を助けてくれるのです。
また、高血圧の予防にも良いと言われていて、血圧を安定させる効果が期待できます。春の野草の中でも、穏やかな効き目を持つ植物として知られているようです。
6. スズナの縁起と栄養
スズナには「神を呼ぶ鈴」という意味があります。
鈴のような丸い形が神聖なものとされ、神様を招いて家に福を呼び込むという願いが込められているのです。カブという身近な野菜ですが、七草としては特別な意味を持っています。
スズナ(カブ)の葉は、ビタミンCやカルシウムが豊富です。特に葉の部分は根よりも栄養価が高く、骨を丈夫にしたり、免疫力を高めたりする効果が期待できます。
根の部分には、消化酵素のアミラーゼが含まれています。でんぷんの消化を助ける働きがあるため、お餅やごはんを食べ過ぎたときに役立つのです。
7. スズシロの消化促進効果
スズシロには「清白」という意味が込められています。
汚れのない純白さを表し、邪気を払い清らかな気持ちで一年を始めるという願いが込められているのです。大根の白さが、まさにその象徴と言えるでしょう。
スズシロ(大根)には、ジアスターゼという消化酵素が豊富に含まれています。でんぷんを分解する働きがあり、胃もたれや消化不良を改善してくれるのです。
また、大根の辛味成分には殺菌作用や血液をサラサラにする効果もあると言われています。ビタミンCも豊富で、風邪予防にも役立ちます。七草の中でも特に実用的で、日常的にも取り入れやすい食材です。
七草粥の基本的な作り方
七草粥は、家庭で簡単に作れる料理です。難しい手順はなく、お粥を炊いて七草を加えるだけのシンプルな料理ですが、いくつかのコツを知っておくとより美味しく作れます。
1. 必要な材料と下準備
七草粥を作るために必要な材料は、とてもシンプルです。
- 米:1カップ
- 水:約7〜8カップ(お粥の好みの固さによって調整)
- 春の七草:1パック
- 塩:少々
七草は、1月上旬になるとスーパーで七草セットとして売られていることが多いので、それを利用すると便利です。自分で摘む場合は、清潔な場所で採取し、よく洗ってください。
下準備として、七草をよく水洗いします。土や汚れがついている場合があるので、丁寧に洗いましょう。その後、細かく刻んでおきます。前日の夜に「七草なずな」の歌を歌いながら刻む風習もありますが、当日でも問題ありません。
米は軽く洗って、30分ほど水に浸しておくと、ふっくらとしたお粥に仕上がります。
2. お粥を炊く手順
お粥の炊き方には、いくつかの方法があります。
鍋で炊く場合は、米と水を鍋に入れて強火にかけます。沸騰したら弱火にして、蓋をずらして40〜50分ほど煮込みます。途中で焦げ付かないように、時々かき混ぜるのがポイントです。
炊飯器で炊く場合は、お粥モードを使うと簡単に作れます。米と水を入れてスイッチを押すだけで、ちょうど良い固さのお粥が出来上がります。
土鍋を使うと、より本格的な味わいになります。土鍋は保温性が高く、お米がふっくらと炊き上がるのです。火加減は鍋で炊く場合と同じで、弱火でじっくりと煮込みます。
お粥の固さは好みで調整してください。水が多いとサラサラした五分粥になり、少ないと固めの全粥になります。
3. 七草を加えるタイミング
七草を加えるタイミングが、美味しさを左右します。
お粥が炊き上がったら、刻んだ七草を加えます。このとき、一気に全部入れるのではなく、少しずつ加えながら軽く混ぜるのがコツです。
七草を入れた後は、長く煮込まないことが大切です。1〜2分ほど火を通したら、すぐに火を止めましょう。七草を煮込みすぎると、せっかくの香りや栄養が失われてしまいます。
最後に塩で味を整えます。塩味は控えめにして、七草の香りを生かすのがポイントです。お好みで醤油を少し垂らしても美味しくいただけます。
仕上げに蓋をして数分蒸らすと、七草の香りがお粥全体に馴染んで、より美味しくなります。温かいうちにいただきましょう。
地域によって異なる七草粥の文化
七草粥は全国共通の風習ですが、地域によって独自のアレンジが加えられています。土地の食材や気候に合わせて、それぞれの七草粥の文化が育まれてきたのです。
1. 東北地方の根菜入り七草粥
東北地方では、七草だけでなく根菜を加える地域があります。
寒い地域では若草が手に入りにくかったため、保存していた根菜を使って七草粥を作る習慣が生まれました。ゴボウや人参、里芋などを加えることで、ボリュームのある栄養たっぷりのお粥になるのです。
また、東北地方では小正月(1月15日)に七草粥を食べる地域もあります。1月7日ではなく、小正月に合わせて食べる習慣が残っているのです。
根菜を加えた七草粥は、体を温める効果も高く、寒い冬にぴったりの料理と言えます。地域の気候に合わせた工夫が感じられる文化です。
2. 九州地方のブリやクジラ入り
九州の一部地域では、七草粥にブリやクジラを入れる習慣があります。
これは海に近い地域ならではの文化で、お粥に魚を加えることで、タンパク質も一緒に摂取できるという合理的な工夫です。特に長崎県や佐賀県の一部では、こうした習慣が今でも続いています。
ブリは出世魚として縁起が良く、新年に食べる魚として好まれてきました。七草粥にブリを加えることで、より縁起の良い料理になるというわけです。
クジラは、かつて貴重なタンパク源として食べられていました。冬の時期にクジラが獲れる地域では、七草粥に加える習慣が生まれたのでしょう。地域の食文化が七草粥にも反映されているのです。
3. 山形県の納豆汁
山形県の一部では、七草粥の代わりに納豆汁を食べる地域があります。
納豆汁は、納豆をすり潰して味噌汁に加えたもので、とろみのある温かい汁物です。七草を入れる場合もありますが、納豆が主役の郷土料理として親しまれています。
納豆には大豆のタンパク質や食物繊維が豊富で、発酵食品ならではの健康効果もあります。お正月の疲れた胃腸を整えるという意味では、七草粥と同じ役割を果たしているのです。
こうした地域ごとの違いは、それぞれの土地の気候や食材、生活習慣が反映された結果と言えます。七草粥という風習が、日本各地で独自に発展してきた証でもあるのです。
まとめ
七草粥には、若草の生命力を取り入れ、疲れた胃腸を休め、邪気を払うという三つの意味が込められています。中国から伝わった風習と日本の若菜摘みが融合して生まれた文化は、時代を超えて今も受け継がれているのです。
春の七草それぞれには縁起の良い意味と健康効果があり、覚え方も工夫されています。短歌調のリズムに乗せて覚えたり、効能とセットで覚えたりすることで、楽しみながら日本の文化を学べるでしょう。地域によって独自のアレンジが加えられているのも、七草粥の面白いところです。1月7日には、家族で七草粥を囲みながら、一年の健康を願う時間を過ごしてみませんか。
