遠方でくなった場合の遺体搬送はどうする?費用の目安と流れを解説!
旅行先や出張先、あるいは遠方の病院で家族が亡くなったという知らせを受けたとき、誰でも動揺してしまいます。慌ててしまうのは当然のことですが、そんなときこそ冷静に「遺体をどう自宅まで運ぶか」を考える必要があります。
遠方からの遺体搬送には、思っている以上に手続きや費用がかかるものです。搬送手段も車だけではなく、飛行機や船を使う選択肢もあります。この記事では、遠方で亡くなった場合の遺体搬送について、具体的な費用の目安や流れ、そして注意すべきポイントをわかりやすく紹介していきます。
遠方で亡くなった場合、最初にすべきことは?
遠方で家族が亡くなったという連絡を受けたら、まず何から始めればいいのでしょうか? 焦る気持ちはわかりますが、順を追って対応していけば大丈夫です。
1. 死亡診断書を受け取る
病院で亡くなった場合、必ず医師から「死亡診断書」が発行されます。この書類は遺体を搬送する際に絶対に必要になるものです。死亡診断書がないと、そもそも遺体を病院から移動させることができません。
発行されたらすぐにコピーを数枚取っておくことをおすすめします。というのも、この後の手続きで何度も必要になる可能性が高いからです。原本は役所への提出に使うため、手元には必ずコピーを残しておきましょう。
ちなみに、死亡診断書は有料で発行されることが多く、1通あたり数千円かかることもあります。病院によって金額が違うので、事前に確認しておくと安心です。
2. 葬儀社または搬送業者に連絡する
死亡診断書を受け取ったら、次は遺体を搬送してくれる業者への連絡です。多くの病院では、提携している葬儀社を紹介してくれますが、必ずしもそこに依頼する必要はありません。
事前に葬儀社を決めていた場合は、そちらに連絡するのがいいでしょう。搬送と葬儀を同じ業者に依頼したほうが、料金も抑えられるケースが多いようです。別々の業者に頼むと、それぞれに費用がかかってしまうため、トータルで見ると割高になりがちです。
遠方からの長距離搬送の場合は、葬儀社ではなく搬送専門の業者に依頼することもあります。距離が長いほど、専門業者のほうが対応力があるかもしれません。
3. 安置先を決めておく
搬送業者に連絡する際、「どこに遺体を運ぶか」も同時に伝える必要があります。安置先は主に自宅か、葬儀社が用意する安置施設のどちらかになるでしょう。
以前は自宅安置が一般的でしたが、最近では葬儀社の安置施設を利用する人も増えています。住宅事情やエアコンの有無、近所への配慮など、家庭によって最適な選択は変わってきます。搬送を依頼する前に、家族で話し合って決めておくとスムーズです。
遺体搬送の方法は3つ
遠方からの遺体搬送には、いくつかの手段があります。距離や状況に応じて、最適な方法を選ぶことが大切です。
1. 車両による陸路搬送
最も一般的なのが、専用の寝台車による陸路搬送です。比較的近距離であれば、この方法が費用面でも現実的でしょう。
寝台車には遺体を安全に運ぶための設備が整っています。ストレッチャーで固定し、ドライアイスで保冷しながら搬送するのが基本です。運転も慣れたドライバーが担当するため、安心して任せられるはずです。
ただし距離が長くなると、搬送時間もかかりますし、料金も上がっていきます。500km以上の長距離になると、運転手の休憩時間なども考慮する必要があるため、到着まで半日以上かかることも珍しくありません。
2. 飛行機による空輸搬送
北海道から九州へ、といった長距離の場合は、飛行機を使った搬送も選択肢に入ってきます。時間を短縮できるのが最大のメリットです。
飛行機で遺体を運ぶ場合、必ず納棺してから貨物室に積み込む必要があります。航空会社によってルールが決まっているため、搬送業者がそれに従って準備してくれます。遺族も同じ便に搭乗して付き添うケースが多いようです。
ただし、飛行機の便数が限られている地域では、希望する時間に搬送できないこともあります。また費用も陸路より高くなることを覚えておきましょう。
3. 船舶による海上搬送
離島や沖縄など、海を渡る必要がある場合は船舶での搬送になります。フェリーに車両ごと乗せて運ぶパターンが一般的です。
船の場合、天候に左右されやすいのが難点かもしれません。台風や荒天時には出航が遅れることもあるため、日程に余裕を持たせる必要があります。費用は飛行機よりは安く、陸路よりは高めといった感じです。
距離別の遺体搬送費用の目安
遺体搬送の費用は、主に距離によって変わってきます。おおよその目安を知っておくと、予算の見通しが立てやすくなるでしょう。
1. 近距離(100km程度)の場合
100km程度の距離であれば、費用は4万6千円から5万5千円ほどが相場のようです。これは基本料金とドライアイス代、高速道路料金などが含まれた金額です。
都道府県内での搬送であれば、この範囲に収まることが多いでしょう。例えば東京から神奈川、大阪から京都といった距離感です。業者によって料金設定は異なるため、複数社に見積もりを取ってみることをおすすめします。
ちなみに、10kmを超えると追加料金が発生する仕組みになっている業者もあります。10kmごとに数千円ずつ加算されていくイメージです。
2. 中距離(300km~500km)の場合
300kmの距離になると、費用は11万円から15万円程度に跳ね上がります。500kmまで伸びると、15万円から20万円ほどかかると考えておいたほうがいいでしょう。
| 距離 | 費用の目安 |
|---|---|
| 100km程度 | 4.6万円~5.5万円 |
| 300km | 11万円~15万円 |
| 500km | 15万円~20万円 |
| 700km以上 | 28万円~35万円 |
東京から大阪が約500km、東京から広島が約800kmといった距離感です。この規模になると、高速道路料金だけでもかなりの額になりますし、搬送時間も長くなるため料金が上がるのは仕方ないかもしれません。
3. 長距離(700km以上)の場合
700km以上の長距離搬送になると、費用は28万円から35万円ほどになります。この距離だと、飛行機を使ったほうが早くて安く済むケースもあるため、両方の見積もりを取って比較してみるといいでしょう。
飛行機での搬送費用は、20万円から30万円程度が相場です。ただしこれに加えて、遺族の航空チケット代も必要になります。トータルで考えると、陸路とそれほど変わらないこともあります。
4. 海外からの搬送費用
海外で亡くなった場合は、費用が一気に跳ね上がります。100万円から150万円ほどかかることも珍しくありません。
海外の場合、エンバーミング(防腐処理)が必要になることが多く、これだけで数十万円かかります。さらに現地での手続き費用、航空運賃、保険料などが加算されていきます。海外旅行保険に入っていれば、一部がカバーされることもあるので、保険会社に確認してみましょう。
飛行機で搬送する場合に知っておきたいこと
長距離の場合、飛行機を使った搬送を選ぶこともあるでしょう。ただし、陸路とは違ったルールがあるため、事前に知っておくと慌てずに済みます。
1. 納棺が必須条件になる
飛行機で遺体を運ぶ際は、必ず棺に納めた状態でなければなりません。これは航空会社の規定で決まっていることです。
通常の陸路搬送であれば、安置先で納棺することもできますが、飛行機の場合は搬送前に済ませておく必要があります。そのため、空港近くの施設で納棺を行ってから、搬送するという流れになることが多いようです。
納棺の準備にも時間がかかるため、当日中の搬送を希望する場合は、早めに業者へ連絡しておいたほうがいいでしょう。
2. 棺のサイズに制限がある場合も
航空会社によっては、貨物室に入る棺のサイズに制限があります。特に小型機を使う地方路線では、大きな棺が入らないこともあるようです。
搬送業者は航空会社のルールを把握しているはずなので、事前に確認してくれるでしょう。故人の体格によっては、特別なサイズの棺を用意する必要があるかもしれません。
3. 家族の航空チケット代も必要
遺体だけを飛行機で送ることもできますが、多くの場合は家族が同じ便で付き添います。そうなると、家族分の航空チケット代も必要になります。
搬送費用の見積もりには、通常この航空チケット代は含まれていません。予算を考える際は、遺体の搬送費用に加えて、家族の交通費も計算に入れておきましょう。
遺体搬送業者を選ぶときのポイント
搬送業者選びは、故人を安全に送り届けるために大切な決断です。慌てて決めてしまうと、後で後悔することもあるかもしれません。
1. 対応可能な距離を確認する
まず確認したいのが、その業者が希望する距離の搬送に対応しているかどうかです。近距離専門の業者もあれば、全国対応している業者もあります。
特に遠距離の場合は、搬送専門の業者のほうが経験豊富で安心かもしれません。飛行機や船舶での搬送が必要な場合は、その実績があるかも重要なポイントです。
業者のホームページには、対応エリアが記載されていることが多いので、まずはそこをチェックしてみましょう。
2. 料金の内訳が明確かどうか
見積もりを取る際は、料金の内訳がはっきりしているかを必ず確認してください。基本料金に何が含まれていて、何が別途かかるのかが明確な業者を選ぶべきです。
よくあるのが、「基本料金は安いけれど、オプションを追加していったら結局高くなった」というケースです。ドライアイス代、高速道路料金、深夜料金などが別途かかるのか、最初に確認しておきましょう。
複数の業者から見積もりを取って、比較検討することをおすすめします。料金だけでなく、サービス内容も見比べてみてください。
3. 実績と口コミをチェックする
長年の実績がある業者のほうが、安心して任せられるでしょう。地域で信頼されている業者であれば、口コミや評判も良いはずです。
最近ではインターネットで簡単に口コミを調べられます。実際に利用した人の声は参考になるので、時間があればチェックしてみるといいでしょう。
ちなみに、遺体搬送には「一般貨物自動車運送事業許可」という許可が必要で、許可を受けている業者は緑ナンバーの車両を使っています。白ナンバーの無許可業者もあるようなので、注意が必要です。
搬送前に準備しておくべきもの
遺体搬送をスムーズに進めるためには、いくつか準備しておくべきものがあります。当日になって慌てないよう、事前にチェックしておきましょう。
1. 死亡診断書は必ず持参する
何度も触れていますが、死亡診断書は搬送に絶対必要な書類です。原本とコピー両方を用意しておくと安心です。
搬送中に警察の検問などがあった場合、死亡診断書の提示を求められることもあるそうです。すぐに取り出せるよう、わかりやすい場所に保管しておきましょう。
2. 近親者やお寺への連絡
搬送が決まったら、葬儀に参列してもらう親族や、お世話になっているお寺にも連絡を入れておきましょう。特に遠方からの搬送の場合、到着時間が読めないこともあります。
「今日の夕方には着く予定」といった大まかな情報でも構いませんので、関係者には早めに伝えておいたほうがいいでしょう。後の葬儀の段取りもスムーズになります。
3. ドライアイスの手配について
遺体を安置する際は、ドライアイスで保冷する必要があります。搬送業者が用意してくれることがほとんどですが、長距離搬送の場合は途中で追加が必要になることもあります。
ドライアイスは1日10kg程度が目安とされています。搬送に2日かかるようであれば、その分の量を確保しておく必要があるでしょう。業者と相談して、適切な量を準備してもらってください。
ちなみに、夏場は特にドライアイスの消費が早いため、多めに用意しておくと安心です。
遺体の安置先はどこがいい?
搬送先をどこにするかも、大切な選択です。それぞれにメリットとデメリットがあるため、家族の状況に合わせて決めましょう。
1. 自宅で安置する場合
自宅に安置できれば、家族がゆっくりと故人と過ごす時間を持てます。慣れ親しんだ場所で最後の時間を過ごせるのは、故人にとっても嬉しいことかもしれません。
ただし、自宅安置にはいくつか条件があります。まず、遺体を安置できるスペースが必要です。6畳ほどの部屋があれば理想的でしょう。
また、エアコンで室温を低く保つ必要もあります。夏場は特に注意が必要で、20度以下を保つのが望ましいとされています。集合住宅の場合は、近隣への配慮も考えておいたほうがいいかもしれません。
2. 葬儀社の安置施設を利用する場合
最近増えているのが、葬儀社が用意する安置施設の利用です。自宅に十分なスペースがない場合や、近所への配慮が気になる場合に便利です。
安置施設は温度管理がしっかりしているため、遺体の保存状態も安心です。24時間いつでも面会できる施設も多く、自宅安置と変わらず故人と過ごす時間を持てるでしょう。
ただし、安置施設の利用には費用がかかります。1日あたり数千円から1万円程度が相場のようです。日数が延びれば、その分費用も増えていくことを頭に入れておきましょう。
3. 安置期間とドライアイスの必要量
安置期間は、通常2日から3日程度です。亡くなった翌日に通夜、その翌日に告別式というのが一般的な流れでしょう。
ドライアイスは1日10kgが目安なので、3日間安置するなら30kg程度必要になります。搬送業者や葬儀社が適宜補充してくれるはずですが、費用は別途かかることが多いようです。
真夏や、エアコンが効きにくい環境では、ドライアイスの消費量が増えることも覚えておいてください。
遠方からの遺体搬送で注意すべきこと
遠方からの搬送には、近距離にはない注意点がいくつかあります。トラブルを避けるためにも、事前に知っておきましょう。
1. 搬送には時間がかかることを想定する
当然ですが、距離が遠ければ遠いほど、搬送に時間がかかります。500kmの距離であれば、高速道路を使っても6時間から8時間はかかるでしょう。
途中で休憩を挟むこともあるため、余裕を持ったスケジュールを組む必要があります。「今日中に葬儀を始めたい」と思っても、物理的に難しいケースもあります。
搬送業者に到着予定時刻を確認して、それに合わせて葬儀の日程を決めるのが現実的です。
2. 夜間・早朝の搬送は追加料金になる
深夜や早朝に搬送を依頼すると、追加料金がかかることがほとんどです。通常料金に1万円から3万円程度上乗せされるケースが多いようです。
どうしても急ぐ必要がある場合は仕方ありませんが、可能であれば日中の搬送を選んだほうが費用を抑えられるでしょう。時間に余裕があるなら、翌日の朝まで待つという選択肢もあります。
3. 高速道路料金などの実費は別途かかる
見積もりに含まれていないことが多いのが、高速道路料金やガソリン代などの実費です。これらは距離に応じて加算されていきます。
例えば東京から大阪まで搬送する場合、高速道路料金だけで1万円以上かかることもあります。見積もりの際に「実費は別途」と書かれていないか、必ず確認しておきましょう。
後から請求されて驚かないよう、最初に総額の目安を聞いておくことをおすすめします。
4. 海外の場合はエンバーミングが必要
海外から遺体を運ぶ場合、日本に入国する前にエンバーミング(防腐処理)が必要になります。これは法律で定められているため、避けることはできません。
エンバーミングの費用は、国によって異なりますが、数十万円かかることが一般的です。さらに現地での棺の購入、書類手続き、航空運賃などが加わり、トータルで100万円を超えることも珍しくありません。
海外で亡くなった場合は、現地の日本大使館や領事館に相談すると、手続きをサポートしてくれます。
よくある疑問
遺体搬送について、よく聞かれる質問をいくつか紹介します。同じような疑問を持っている人も多いのではないでしょうか。
1. 自家用車で搬送してもいい?
法律的には、自家用車で遺体を搬送することは禁止されていません。実際に自分の車で運ぶ人もいるようです。
ただし、おすすめはできません。遺体は時間とともに体液が漏れ出すこともあり、適切な処置をしないと車内が汚れてしまいます。また、揺れによって遺体が損傷するリスクもあります。
どうしても自家用車で運ぶ必要がある場合は、後部座席をフルフラットにできる車両を使い、ストレッチャーで固定し、ドライアイスで保冷する必要があります。かなりの準備が必要になるため、やはり専門業者に任せたほうが安心でしょう。
2. 付き添いは必要?
遺体搬送に家族が付き添うかどうかは、自由に決められます。業者が単独で搬送することも可能ですし、家族が同乗することもできます。
長距離の場合、家族が別の交通手段で先に到着しているケースもあります。飛行機搬送の場合は、同じ便に乗って付き添う人が多いようです。
家族の体調や状況に合わせて、無理のない選択をすればいいでしょう。
3. 当日に通夜はできる?
早朝や昼間に亡くなった場合、その日の夜に通夜をしたいと考える人もいるかもしれません。しかし遠方からの搬送が必要な場合、当日中の通夜は難しいことが多いでしょう。
搬送に時間がかかるだけでなく、安置や納棺の準備、親族への連絡、お寺との調整など、やるべきことがたくさんあります。慌てて準備するよりも、翌日以降にゆとりを持って行ったほうが、落ち着いて故人を送れるはずです。
まとめ
遠方での突然の訃報に、誰でも動揺してしまうものです。でも落ち着いて対処すれば、故人を無事に送り届けることができます。
搬送方法や費用について事前に知識を持っておくと、いざというときに慌てずに済むでしょう。もし今、具体的に準備が必要な状況でなくても、頭の片隅に入れておくだけで心の備えになるかもしれません。大切な人との別れは突然やってくることもあります。その時になって困らないよう、信頼できる葬儀社を探しておくのも一つの方法です。
