血圧50台は危篤のサイン?臨終前の兆候と必要な準備を解説!
「血圧が50台になった」と医師から告げられたとき、頭が真っ白になってしまいますよね。
大切な家族を前にして、どう向き合えばいいのか分からなくなるのは当然のことです。けれど実は、血圧50台という数字が示すサインを理解しておくだけで、限られた時間をより穏やかに過ごすことができます。ここでは、臨終前に現れる身体の変化や、家族として何を準備すればいいのかを、順を追ってお伝えします。
血圧50台は危篤状態のサインなのか
血圧50台という数値は、医療現場では明確に危篤状態を示す指標とされています。多くの家族が「まだ大丈夫かもしれない」と考えてしまいがちですが、この数値を正しく理解しておくことで、心の準備と現実的な対応を同時に進めることができます。
1. 血圧50台になると危篤と判断される理由
通常、血圧は心臓が収縮したときの最大血圧と、拡張したときの最低血圧の2つで測定されます。健康な人の場合、最大血圧は120mmHg前後が正常範囲です。
収縮期血圧が90mmHg未満になると低血圧と判断され、60mmHg以下になると脳や心臓、腎臓などの重要臓器への血流が不十分になります。特に収縮期血圧が50mmHg台にまで下がると、自発呼吸や脳の血流維持が著しく困難になってきます。
医師が血圧50台で危篤と診断するのは、生命維持に必要な最低限の循環機能が保てなくなっているからです。この段階では、ほとんどの場合で回復は見込めないとされています。つまり、血圧50台という数値は、臨終が近いことを示す明確なサインなのです。
2. 血圧が50台まで下がったときの余命
血圧が50台になった際の余命は、一般的に数時間から十数時間以内とされています。もちろん年齢や病気の種類、医療措置の有無によって多少の差はあります。
心臓のポンプ機能が極度に低下している状態ですから、生命維持装置なしでは長期間持ちこたえることは難しいでしょう。ただし、人間の身体には不思議な力があって、予想以上に持ちこたえるケースもないわけではありません。
とはいえ、血圧50台は「最後が近いサイン」と受け止め、できるだけ穏やかな看取りの準備を進めておくことが望ましいです。残された時間をどう過ごすか、誰を呼ぶべきかを早めに考えておく必要があります。
3. 重篤と危篤の違い
「重篤」と「危篤」は似た言葉ですが、医療現場では明確に使い分けられています。重篤とは、病気や怪我が重く、回復に時間がかかる状態を指します。一方で危篤は、命に危険が迫っており、臨終を迎えるときが近いことを表す言葉です。
重篤の場合はまだ回復の可能性がありますが、危篤と診断された場合はこれ以上の回復は見込めないといわれています。つまり危篤は、医学的に「先は長くない」と判断された状態なのです。
血圧が50台まで下がった段階では、ほぼ確実に危篤状態と診断されます。この違いを理解しておくことで、家族としての心構えもより明確になるはずです。
血圧50台になったときに現れる身体的な症状
血圧が50台まで下がると、身体のさまざまな部分に目に見える変化が現れ始めます。これらの症状を知っておくことで、慌てずに対応できるようになります。
1. 意識が朦朧として反応が鈍くなる
血圧50台になると、脳への血流が著しく減少するため、意識レベルが低下してきます。名前を呼んでもはっきりとした返事がなくなったり、目を合わせることが難しくなったりします。
ただし、意識が朦朧としているように見えても、聴覚は最後まで残るといわれています。ですから、話しかけたり手を握ったりすることは、本人にとって大きな安心感につながるかもしれません。
反応が鈍いからといって、何も感じていないわけではないのです。むしろこの時期だからこそ、穏やかな声で語りかけることが大切になってきます。
2. 自発呼吸が難しくなる
収縮期血圧が60mmHgを下回ると、自発呼吸が困難になってきます。呼吸が浅く不規則になったり、無呼吸状態が続いたりすることもあります。
胸の動きが小さくなり、呼吸のリズムが乱れてきたら、それは身体の機能が徐々に停止し始めているサインです。人工呼吸器を装着していない場合は、この変化が特に顕著に現れます。
呼吸の変化を目の当たりにすると、家族としては胸が締め付けられる思いになります。けれど本人は、思っているほど苦しんでいないケースも多いといわれています。
3. 腎機能が低下して尿が減る
血圧が70mmHgを下回ると、腎臓のろ過機能が停滞してしまいます。その結果、尿の量が極端に減ってきます。1日の尿量が200mL以下になることもあります。
腎臓は血液をろ過して老廃物を尿として排出する大切な臓器です。血圧が低下すると腎臓への血流が不足し、この機能が十分に働かなくなります。
尿が減るということは、身体の浄化機能が停止しつつあることを意味します。この段階になると、医療的な介入をしても回復は難しいとされています。
4. 目を開けることができなくなる
血圧が60mmHg以下になると、目を開けるのも難しくなってきます。まぶたを持ち上げる筋肉にも血液が十分に行き届かなくなるからです。
目が開かなくなると、家族としては「もう意識がないのかもしれない」と感じてしまいます。けれど先ほども触れたように、聴覚は最後まで残っている可能性が高いのです。
目を閉じていても、周囲の声や温もりは感じ取れているかもしれません。ですから、変わらず優しく接してあげることが何より大切です。
臨終前に現れる身体の変化
血圧50台という数値だけでなく、臨終が近づくと身体全体にさまざまな変化が現れます。これらの兆候を知っておくことで、心の準備を整えることができます。
1. 呼吸の変化:死前喘鳴や下顎呼吸が見られる
臨終が近づくと、呼吸に特徴的な変化が現れます。喉の奥でゴロゴロと音がする「死前喘鳴」が聞こえることがあります。これは呼吸の際に咽頭や喉頭に貯留した分泌物によって起こる音です。
さらに死亡直前になると、胸の動きが小さくなり、顎が上がって喘ぐような「下顎呼吸」に移行します。これは心臓の機能や肺の機能が低下することで起こる呼吸です。
死前喘鳴が消失して下顎呼吸に移行すると、それは死期が迫っていることを示すサインとされています。こうした呼吸の変化を知っておくことで、その時が来たときに少しでも落ち着いて対応できるかもしれません。
2. 手足が冷たくなりチアノーゼが現れる
臨終が近い人は、手足の先から紫色に変化したり、冷たくなったりします。この変色は「チアノーゼ」と呼ばれる循環障害のひとつです。
心臓の働きが低下し、血液を全身に送る機能が衰えることによって起こります。血液中の酸素濃度が低下すると、皮膚や粘膜の表面にある静脈や毛細血管の血液が酸素を失い、青紫色に見えるようになります。
手足が冷たくなっていくのを感じると、家族としては辛い気持ちになります。けれど、そっと手を握って温めてあげることは、最期の時間を共に過ごす大切な行為です。
3. 血圧と酸素飽和度がさらに低下していく
血圧50台から、さらに血圧は下がり続けます。同時に、血液中の酸素飽和度も低下していきます。橈骨動脈(手首の動脈)が触れなくなることもあります。
酸素飽和度とは、血液中にどれだけ酸素が含まれているかを示す数値です。通常は95%以上が正常範囲ですが、臨終前には80%以下、さらには60%以下まで下がることもあります。
これらの数値の低下は、身体が生命活動を維持できなくなっていることを示しています。医療機器のモニターで確認できる場合は、数値の変化に気持ちの準備を重ねていくことができます。
4. 体温がわずかに上昇する
意外に思われるかもしれませんが、臨終前には体温がわずかに上昇することがあります。これは体温調節機能が正常に働かなくなることが原因です。
手足は冷たくなっているのに、体幹部は温かいという不思議な状態になることもあります。身体が最後の力を振り絞っているようにも見えます。
こうした体温の変化も、臨終が近いことを示す一つのサインとして理解しておくとよいでしょう。
危篤と告げられたときに家族がすべきこと
危篤の連絡を受けたら、気が動転してしまうのは当然です。けれど、やるべきことを順序立てて進めることで、後悔の少ない時間を過ごせるようになります。
1. まずは泊まり込みの準備をする
危篤状態では数時間から十数時間で臨終を迎える可能性があります。ですから、すぐに病院へ駆けつけ、泊まり込みの準備をすることが最優先です。
着替えや洗面用具、携帯電話の充電器などを持参しましょう。病院によっては簡易ベッドや毛布を貸してくれることもあります。長時間付き添うことになるため、軽食や飲み物も用意しておくと安心です。
家族が複数いる場合は、交代で休憩を取りながら看守することも考えておきましょう。無理をして倒れてしまっては元も子もありません。
2. 親族や関係者に連絡する範囲と伝え方
危篤の連絡は、すぐに駆けつけてほしい人から順に行います。一般的には、三親等以内の親族が連絡の目安とされています。具体的には、配偶者、子ども、孫、兄弟姉妹、親、おじ・おばなどです。
遠方に住んでいる親族には、移動時間を考慮して早めに連絡しましょう。親しい友人や会社関係者にも知らせる場合は、本人との関係性を考えて判断します。
連絡の際は、「危篤状態です」「医師から長くないと言われました」と状況を明確に伝えることが大切です。「会えるうちに会いに来てください」という言葉を添えると、緊急性が伝わりやすくなります。
3. 葬儀社や菩提寺に事前に連絡しておく
臨終を迎えた後は、速やかに葬儀の準備を進める必要があります。そのため、危篤の段階で葬儀社や菩提寺に事前連絡をしておくとスムーズです。
葬儀社には、危篤状態であることを伝え、いつでも対応できるよう準備してもらいましょう。遺体の搬送や安置場所についても相談しておくと安心です。
菩提寺がある場合は、住職に連絡して今後の段取りを確認しておきます。お寺との関係が疎遠になっている場合でも、早めに連絡を取っておくことで、後々の手続きがスムーズになります。
4. 現金や必要な物品を準備しておく
臨終後は、病院への支払いや葬儀の初期費用など、まとまった現金が必要になることがあります。銀行口座は死亡届が提出されると凍結されるため、ある程度の現金を手元に用意しておきましょう。
また、臨終後に必要となる物品もあらかじめ準備しておくと慌てずに済みます。例えば、遺影に使う写真、印鑑、健康保険証、年金手帳などです。
本人が生前に遺言書や終活ノートを残している場合は、その保管場所も確認しておきましょう。これらの準備を整えておくことで、心に少しの余裕が生まれます。
臨終前の大切な時間の過ごし方
限られた時間だからこそ、どう過ごすかが重要になってきます。後悔のない看取りのために、心がけたいことがいくつかあります。
1. 後悔しないよう心を込めて見守る
臨終前の時間は、もう二度と戻ってきません。だからこそ、その瞬間を大切に過ごすことが何より重要です。
医療機器のアラーム音や病院の慌ただしさに気を取られがちですが、本人の顔を見て、手を握って、そばにいることを伝えましょう。「ありがとう」「お疲れさま」といった感謝の言葉をかけることも大切です。
何を話していいか分からないときは、昔の楽しかった思い出を語りかけるのもいいでしょう。本人が好きだった音楽を流したり、写真を見せたりすることもおすすめです。
2. 本人が会いたい人との面会を優先する
もし本人に意識があり、会いたい人がいるようであれば、その希望を最優先してあげましょう。たとえ意識が朦朧としていても、大切な人の声は届いているかもしれません。
遠方の家族や友人には、電話越しでもいいので声を聞かせてあげることを検討しましょう。スマートフォンのビデオ通話を使うのも一つの方法です。
面会に来た人たちには、短時間でも本人の近くにいてもらい、言葉をかけてもらいましょう。その一言一言が、本人にとっても、残される家族にとっても、かけがえのない思い出になります。
3. 声をかけたり手を握ったりする
聴覚は最後まで残る感覚だといわれています。ですから、意識がないように見えても、優しく声をかけ続けることが大切です。
「そばにいるからね」「大丈夫だよ」といった安心できる言葉をかけましょう。手を握ったり、額をなでたりすることで、温もりを伝えることもできます。
たとえ返事がなくても、その存在を感じていることは確かです。家族の温かさが、本人の心を穏やかにしてくれるはずです。
臨終を迎えた後にすべき手続き
臨終を迎えた後は、悲しみに浸る間もなく、さまざまな手続きが必要になります。あらかじめ流れを知っておくことで、少しでも落ち着いて対応できます。
1. 死亡診断書を受け取る
医師が死亡を確認すると、死亡診断書が発行されます。この書類は、これから行うすべての手続きの基礎となる重要なものです。
死亡診断書は、死亡届と一体になった様式になっています。病院で受け取ったら、内容に誤りがないか確認しましょう。コピーを数枚取っておくことも忘れずに。
死亡診断書がないと、死亡届の提出や火葬の許可が受けられません。非常に大切な書類なので、紛失しないよう注意が必要です。
2. 死亡届と埋火葬許可申請書を提出する
死亡診断書を受け取ったら、7日以内に死亡届を市区町村役場に提出する必要があります。同時に埋火葬許可申請書も提出します。
死亡届は、故人の本籍地、死亡地、届出人の住所地のいずれかの役場に提出できます。多くの葬儀社が代行してくれるので、依頼するのもよいでしょう。
埋火葬許可証が発行されないと、火葬や埋葬ができません。この書類は火葬場に提出するため、葬儀社に預けることになります。
3. 遺体の搬送と葬儀社への連絡
病院で亡くなった場合、遺体は長時間病院に安置しておくことはできません。速やかに自宅や葬儀社の安置施設に搬送する必要があります。
事前に連絡していた葬儀社に改めて連絡し、搬送の手配をしてもらいましょう。搬送車が到着するまでの間、病院のスタッフが遺体を清めてくれることもあります。
自宅に安置する場合は、部屋の準備や親族への連絡も必要です。葬儀社に相談すれば、スムーズに進められるようサポートしてくれます。
まとめ
血圧50台という数値は、確かに危篤状態を示す明確なサインです。けれど、その数字だけに囚われず、残された時間をどう過ごすかが何より大切になります。
臨終前に現れる身体の変化を知っておくことで、慌てずに対応できるようになります。そして何より、穏やかに見守り、心を込めて最期の時間を共に過ごすことが、残される家族にとっても本人にとっても、かけがえのない経験になるはずです。
準備と心構えを整えながら、一瞬一瞬を大切に過ごしてください。
