葬儀の知識

神式葬儀とは?流れや仏式との違いを解説!

終活のトリセツ

「神式の葬儀に参列することになったけれど、何を準備すればいいのかわからない」

そんなふうに感じたことはありませんか?

実は日本では仏式の葬儀がほとんどなので、神式葬儀に触れる機会は少ないかもしれません。

けれど神式葬儀には、仏式とは違う意味や作法があります。

古くから日本に伝わってきた神道の考え方に基づいて行われる葬儀なので、その意味を知るだけでも気持ちが整うものです。

ここでは、神式葬儀の基本的な流れやマナー、仏式との違いをわかりやすく紹介します。

神式葬儀(神葬祭)という日本古来の葬送儀式

神式葬儀は「神葬祭(しんそうさい)」とも呼ばれます。日本に仏教が伝わる前から続いてきた、古い歴史を持つ葬送儀式です。

1. 神式葬儀(神葬祭)の意味と目的

神式葬儀は、亡くなった方を家族や子孫を守る「守護神」として迎えるために行われます。

仏式の葬儀が故人の魂を極楽浄土へ送るのに対して、神式では故人が家に留まって子孫を見守る存在になるという考え方なんです。

ですから神式葬儀の目的は、亡くなった方の御霊(みたま)が安らかに家庭の守護神となるよう祈ることにあります。死を悲しみながらも、同時に故人を身近な存在として感じ続けるための儀式だといえるでしょう。

神道では、人の死を「穢れ(けがれ)」として捉えます。これは気枯れ、つまり生命力が減衰した状態を指しています。神式葬儀を執り行うことで、その穢れを祓い清めて日常の世界に戻すという意味もあるのです。

2. 仏式との根本的な考え方の違い

仏式と神式では、そもそも死後の世界の捉え方が違います。

仏教では、故人は仏となって冥界へ旅立ち、新しい命に生まれ変わると考えます。輪廻転生という概念があって、極楽浄土へ行くことが目指されるわけです。

一方で神道では、故人の魂は幽世(かくりよ)と呼ばれる神域に行き、守護神として子孫を見守るという考え方です。ですから「成仏」や「供養」といった仏教用語は神式葬儀では使いません。

この違いは、葬儀での儀式や言葉遣いにも大きく影響します。仏式では「ご冥福をお祈りします」と言いますが、神式では「御霊のご平安をお祈りします」という表現になるんです。

3. どんな人が神式葬儀を選ぶのか

神式葬儀を選ぶのは、主に神道を信仰している方や神社とのつながりが深い家族です。

日本では仏式葬儀が約9割を占めるといわれていますが、代々神道の家系だったり、生前に神社の氏子として活動していた方は神式葬儀を希望することがあります。

また最近では、仏式にはない日本古来の伝統を重んじて神式葬儀を選ぶ方も増えているようです。先祖を身近に感じながら供養したいという気持ちから、神式を選ぶケースもあるかもしれません。

神式葬儀を検討する際には、家族や親族との相談が欠かせません。特に菩提寺とのお付き合いがある場合は、事前にしっかりと話し合う必要があります。

神式葬儀と仏式葬儀の違い:比べるとわかる特徴

神式葬儀と仏式葬儀には、儀式の内容や言葉遣いに大きな違いがあります。この違いを知っておくと、参列するときに戸惑わずに済むでしょう。

1. 祈りの言葉:祝詞と読経

仏式葬儀では僧侶がお経を唱えますが、神式葬儀では神職が「祝詞(のりと)」を奏上します。

祝詞は、神様に対して子孫の繁栄を祈る言葉です。故人の冥福を祈るというよりも、故人が守護神として家族を守ってくれるよう願う内容になっています。

仏式のお経が故人を極楽浄土へ導くための経文であるのに対して、祝詞は神様と対話するための言葉だといえます。雅楽の演奏とともに祝詞が奏上される場面は、神式葬儀ならではの厳かな雰囲気を醸し出します。

2. 儀式の名前と内容の違い

仏式と神式では、同じような儀式でも呼び方や内容が異なります。

たとえば仏式の「焼香」にあたるのが、神式の「玉串奉奠(たまぐしほうてん)」です。玉串とは、榊の枝に紙垂(しで)という白い紙をつけたもので、これを神前に捧げます。

また仏式の「位牌」にあたるのが、神式の「霊璽(れいじ)」です。故人の御霊を移す依り代として、霊璽が仏壇の代わりとなる「祖霊舎(それいしゃ)」に祀られます。

仏式の「戒名」に相当するのが、神式では「諡(おくりな)」または「霊名」と呼ばれます。亡くなった方の本名の後ろに、生前の実績などを諡として書き足すのが特徴です。

このように、儀式の基本的な流れは似ていても、名前や意味合いがまったく違うんです。

3. 葬儀後の供養の違い

仏式では初七日や四十九日などの法要がありますが、神式では「霊祭」と呼ばれる儀式を行います。

神式では、逝去してから10日ごとに「十日祭」「二十日祭」と霊祭を執り行います。仏式の四十九日にあたるのが「五十日祭」で、これが忌明けとなります。

五十日祭は神式葬儀の中でも特に重要な儀式で、多くの場合この日に納骨が行われます。その後は、満1年目の「一年祭」、満3年目の「三年祭」と続きます。

一年祭は喪明けの儀式として親族や友人を招いて盛大に執り行われることが多いです。五十年祭で「まつりあげ」となり、弔い上げとされます。

4. 葬儀場所の違い

仏式葬儀は寺院や斎場で行われることが多いですが、神式葬儀は神社では行いません。

神道では死を穢れとして捉えるため、神聖な場所である神社で葬儀を執り行うことはほとんどないんです。代わりに、自宅や葬儀会場、セレモニーホールなどを利用します。

葬儀後に神職の方や世話役の方をねぎらう「直会(なおらい)」という宴を開く習慣もあります。これは仏式の「忌中払い」にあたるものです。

こうした場所の選び方にも、神道独自の考え方が反映されています。

神式葬儀の流れ:逝去から火葬まで

神式葬儀は、仏式と同じように2日間かけて執り行われることが一般的です。それぞれの儀式には意味があり、順を追って故人を守護神として迎え入れていきます。

1. 帰幽奉告と枕直しの儀

故人が亡くなると、まず「帰幽奉告(きゆうほうこく)」を行います。

これは、自宅の神棚や祖霊舎(それいしゃ)に故人が亡くなったことを報告する儀式です。祖霊舎とは、先祖を祀る祭壇のことを指します。

神道では死を穢れとするため、帰幽奉告の際には神棚や祖霊舎の扉を閉じて、白い紙を貼って封をします。これを「神棚封じ」といいます。先祖の霊が死の穢れに触れないようにするための配慮なんです。

次に「枕直しの儀」を行います。ご遺体を清めて白小袖を着せ、白い布で顔を覆って北枕に安置します。

小さな台を2つ用意し、一方には故人が生前好んでいた食べ物や米・塩・水などを供えます。もう一方の台には、悪霊から故人を守るという意味を込めて守り刀を配置します。

2. 納棺の儀

ご遺体を清めた後、棺に納める「納棺の儀」を行います。

故人には死装束を着せることが一般的ですが、生前好んで着ていた服を着せて白い布で覆うこともあります。棺のふたを閉めた後は、紙垂を下げたしめ縄を巻いて装飾します。

祭壇に供物を供えたら、遺族全員で礼拝を行います。このとき使われる供物は、米や酒、塩や水といった清らかな食べ物です。仏式のように線香やろうそくは使いません。

3. 通夜祭の流れ

神式葬儀の1日目には「通夜祭」を執り行います。

通夜祭は仏式のお通夜にあたる儀式で、故人が死後安らかに眠ることを祈り、子孫の家を守る守護霊となることを願います。

儀式が始まると、雅楽奏者による演奏とともに神職が祭詞(さいし)と祭文(さいもん)を唱えます。その間に、遺族や参列者は玉串を奉って拝礼します。

通夜祭に続いて「遷霊祭(せんれいさい)」が行われます。これは「御霊移し」とも呼ばれ、故人の魂をご遺体から抜いて霊璽に移すための儀式です。

御霊を移すときは魂が動くとされる夜を再現するため、部屋の明かりを消した暗室で行われるのが特徴です。本来は通夜祭とは別の儀式ですが、現在は通夜祭の一部として執り行われることが多いようです。

4. 葬場祭(告別式)の流れ

神式葬儀の2日目には「葬場祭(そうじょうさい)」を執り行います。

葬場祭は仏式の葬儀・告別式に相当する儀式で、神式葬儀において主となる儀式です。弔辞の奉呈や弔電の朗読、神職による祭詞奏上、玉串奉奠などで構成されます。

参列者は一人ずつ玉串を奉り、「二礼二拍手一礼」の作法で拝礼します。ただし弔事であるため、拍手は音を鳴らさない「忍び手(しのびて)」で行うのがマナーです。

葬場祭が終わると、棺に花を入れて故人に最後の別れをします。その後、ご遺体を火葬場へ向けて出棺します。

5. 火葬祭と埋葬祭

火葬場に到着すると「火葬祭」を執り行います。

火葬祭は炉前や特別室で行われ、神職によるお祓いや祭詞奏上、遺族と参列者による玉串奉奠が行われます。その後、棺が火葬炉に入るところを見守るのが通例です。

「埋葬祭」は、遺骨を墓に埋葬するための儀式です。かつては火葬場から遺骨を持って直接墓地へ運んでいましたが、近年は遺骨をいったん持ち帰り、忌明け後である五十日祭で埋葬するご家庭が多いようです。

火葬場から戻ってきた後は「帰家祭(きかさい)」を行います。手水と塩で身を清め、仮霊舎(かりみたまや)に遺骨と霊璽を安置します。葬儀が無事終了したことを神様に奉告して、祭詞奏上、玉串奉奠を行います。

すべての儀式が終わった後には「直会(なおらい)」という宴を開きます。葬儀を手伝ってくれた神職や世話役の方々をねぎらうための宴です。

神式葬儀で大切な作法:手水と拝礼

神式葬儀には、仏式にはない独特の作法があります。これらを知っておくと、参列するときに慌てずに済むでしょう。

1. 手水の儀のやり方

神式葬儀では、儀式の前に「手水(ちょうず)」で心身を清めます。

手水は、心身を洗い清める禊(みそぎ)の儀式を簡略化したものです。省略する葬儀もありますが、式場に用意されている場合は必ず行いましょう。

手水のやり方は、神社での参拝と同じです。まず右手で柄杓を持ち、桶に汲まれたご神水をすくいます。最初に左手を洗い流し、続いて柄杓を左手に持ち替えて右手を洗い流します。

次に柄杓を右手に持ち替えて、左手で水を受けて口をすすぎます。最後に柄杓を元の場所に戻し、懐紙で両手を拭き取ります。

この一連の動作は、神道における清浄さを大切にする考え方から来ています。手水をすることで、儀式に臨む準備が整うのです。

2. 拝礼の基本作法

神式葬儀の拝礼は、神社への参拝と同じ「二礼二拍手一礼」が基本です。

まず深く二回お辞儀をします。次に二回拍手をしますが、ここがポイントです。葬儀での拍手は音を立てないよう、両手を打つ直前で止める「忍び手(しのびて)」で行います。

最後にもう一度深くお辞儀をして、拝礼は完了です。この作法は、玉串奉奠の際にも同じように行います。

拝礼の際には、故人の冥福を祈るという表現は避けて、「御霊の平安をお祈りします」という気持ちで黙祷します。神式葬儀ならではの心構えだといえるでしょう。

3. しのび手という音を立てない拍手

「忍び手」は、神式葬儀で最も注意すべきマナーの一つです。

本来、神社で拍手をするときは音を立てて喜びの気持ちを表します。しかし葬儀は故人を悼み偲ぶ場なので、音を立てることはふさわしくありません。

忍び手のやり方は、拍手をする直前で両手を止めて、音を立てずに手のひらを合わせるイメージです。静かに手を合わせることで、故人への哀悼の気持ちを表現します。

この作法を知らないと、普通に拍手をしてしまいがちです。神式葬儀に参列する前には、必ず確認しておきたいポイントですね。

玉串奉奠の作法とマナー

玉串奉奠は、神式葬儀で最も重要な儀式の一つです。仏式の焼香にあたる儀式なので、正しい作法を知っておくことが大切です。

1. 玉串という榊の意味

玉串とは、神様が宿るとされる榊の枝に紙垂(しで)という白い紙を結びつけたものです。

神道では、玉串に自分の心を託して神前に捧げるという考え方があります。葬儀において玉串を神前に捧げることで、故人の御霊を慰めて哀悼の気持ちを表すのです。

玉串は神道の儀式において尊ばれるもので、神式葬儀以外にも結婚式やその他の儀式でも使われます。いわば、神様とつながるための依り代のような存在なんです。

玉串料(御玉串料)という言葉もありますが、これは玉串の代金と祈祷のお礼を合わせて神社へ奉納する金品のことを指します。仏式の香典にあたるものです。

2. 玉串奉奠の正しい手順

玉串奉奠の手順は、決まった流れがあります。

まず喪主と遺族に一礼し、神主の方へ進んで一礼します。玉串を渡されたら、右手で上から玉串の根元を、左手で葉先を支えるように持ちます。

葉先が少し高くなるようやや斜めに持ち、玉串を胸の高さまで持ち上げます。そのまま祭壇前に置かれた玉串案の前まで進んで、深く一礼します。

次に玉串を時計回りに90度回転させて縦にし、両手で玉串の根元を持ちます。目を閉じて2〜3秒ほど祈念します。

その後、玉串を時計回りに180度回転させ、根元が祭壇の方に向くようにします。玉串を両手で添えて玉串案に置きます。

最後に、深く二礼し、忍び手で二拍手、深く一礼します。二歩後退して向きを変え、神主と遺族に会釈して自分の席に戻ります。

3. よくある間違いと注意点

玉串奉奠では、いくつか注意すべき点があります。

まず、玉串を受け取る際は必ず両手で丁寧に受け取りましょう。片手で受け取るのは失礼にあたります。

また、玉串を置く向きを間違えないよう注意が必要です。根元が祭壇の方に向くように置くのが正しい作法です。向きを誤ると不敬になる可能性があるので、不安な場合は係の方に確認するとよいでしょう。

拍手は必ず忍び手で行うことも忘れてはいけません。普通に音を立てて拍手をしてしまうと、マナー違反になってしまいます。

地域や宗派によって細かい作法が異なる場合があるため、葬儀が始まる前に斎場スタッフや神職に確認しておくと安心です。

神式葬儀に参列するときの服装と持ち物

神式葬儀に参列する際の服装や持ち物は、基本的には仏式と似ています。ただし、いくつか注意すべき違いがあるので確認しておきましょう。

1. 参列者の服装マナー

男性の基本的な服装は黒の喪服(ブラックスーツ)です。

ネクタイとポケットチーフも黒を選び、靴と靴下も黒で統一します。装飾品は控えめにして、派手なものは避けましょう。

女性も黒の喪服が基本です。スカートの場合は膝が隠れる丈のものを選び、黒のストッキングを着用します。靴も黒で、かかとが高すぎないものが適切です。

アクセサリーは最小限に抑え、派手なものは避けましょう。真珠の一連ネックレスとイヤリングなど控えめなものが望ましいです。バッグは黒の布製のものを選びます。

神式葬儀では、白い手袋を着用するのが一般的です。これは神道の清浄観に基づいており、神前で手を清めた状態で儀式に参加することを意味します。

2. 数珠は必要ないという注意点

神式葬儀では数珠を持参しません。

これは最もよくある質問の一つですが、数珠は仏教の法具であり、神道の儀式では使用しないのです。仏式葬儀に参列するときの習慣でつい持って行きそうになりますが、神式では不要だと覚えておきましょう。

むしろ数珠を持参してしまうと、神道の考え方にそぐわないため注意が必要です。神式葬儀に参列する際には、数珠を持たないことが正しいマナーなんです。

代わりに白い手袋を持参すると良いでしょう。玉串奉奠の際などに白手袋を着用するのが一般的です。

3. 用意する持ち物リスト

神式葬儀に参列する際の基本的な持ち物をまとめます。

  • 御玉串料(香典)
  • 黒い喪服
  • 白い手袋
  • ハンカチ・ティッシュ
  • 黒い靴と靴下(またはストッキング)
  • 黒いバッグ

女性の場合は、予備のストッキングや化粧直しの道具を持参すると安心です。また、季節によっては黒のコートなどの防寒着も必要になります。

火葬場などの屋外での儀式もあるため、寒さ対策は必要ですが、派手な色や柄のコートは避けましょう。

御玉串料は、不祝儀袋に入れて持参します。表書きや水引の選び方にもマナーがあるので、次の章で詳しく説明します。

御玉串料(香典)の書き方と相場

神式葬儀での香典は「御玉串料(おたまぐしりょう)」と呼ばれます。表書きや金額、袋の選び方には仏式とは異なるマナーがあります。

1. 表書きの正しい書き方

神式葬儀で香典を包む際の表書きは、「御玉串料」または「御榊料(おさかきりょう)」が一般的です。

「御霊前(ごれいぜん)」という表書きも宗教を問わず使えるため、神式葬儀でも使用できます。ただし仏式葬儀で使われる「御香典」という表現は避けましょう。

表書きを書くときは、筆ペンか毛筆を使うのがマナーです。筆ペンか毛筆を用意できない場合は、黒色のサインペンで代用しても構いません。ボールペンや鉛筆はカジュアルすぎるため避けてください。

香典袋の上段の中心に「御霊前」もしくは「御玉串料」と書き、下段には自身の氏名を書きましょう。氏名は御玉串料よりもやや小さめに書くのが適切です。

2. 関係性別の金額相場

御玉串料の相場は、基本的に仏式葬儀の香典と同様で、故人との関係性によって変わります。

以下は一般的な金額の目安です。

故人との関係金額の目安
両親5万円〜10万円
祖父母1万円〜3万円
兄弟姉妹3万円〜5万円
義両親5万円〜10万円
義祖父母1万円〜3万円
義兄弟姉妹1万円〜3万円
叔父・叔母1万円〜2万円
その他の親戚5千円〜2万円
友人・知人5千円〜1万円
上司5千円〜1万円
同僚・部下5千円〜1万円
恩師3千円〜1万円
近所の方3千円〜1万円

これらはあくまで目安なので、自分の気持ちや年齢、収入、地域の風習などを総合的に考えて、適切な額を決めてください。

御玉串料を納める際は、適度に使用感のある旧札を入れるのが基本です。新札しかない場合は、一度折り目をつけてから入れると印象が良くなります。

3. 袋の選び方と書き方の注意点

神式葬儀で使用する香典袋は、無地の封筒を選びましょう。

蓮の花が描かれたものは仏式、百合の花が描かれたものはキリスト教式用の香典袋なので避けてください。水引は白黒、または双銀(そうぎん)のどちらかを選びます。

正式には「蓮結び」ではなく「結び切り」の水引を選びます。これは「二度と死という悲しみが繰り返されないように」という願いが込められています。

金額の書き方も重要です。数字の改ざんを防ぐために「壱萬円」「参千円」のように漢数字で書きます。

御玉串料は、通夜祭か葬場祭の受付で渡すのが一般的です。受付では両手で丁寧に渡し、必ず氏名と住所を記帳します。

葬儀に参列できない場合は、弔電と共に御玉串料を送るか、後日弔問の際に持参するのがマナーです。

神式葬儀の費用相場という現実的な話

神式葬儀を検討する際に気になるのが費用です。仏式と比べて安いと聞いたことがある方もいるかもしれませんが、実際のところはどうなのでしょうか。

1. 全体の費用相場

葬儀に要した費用の全国平均は約119万円といわれています。

ただし、この金額は葬儀の形式や規模、グレードなどによって大きく異なります。参列者の飲食費や返礼品、香典返し、宗教者への御礼の費用なども含めると、トータルの平均額は約208万円になるというデータもあります。

神式葬儀も仏式葬儀も、基本的な費用はそれほど変わりません。一概にどちらの形式の費用が安価だと決めつけることはできないんです。

葬儀社や葬儀社で選択したプラン、お願いした神社などで費用は大きく変化します。同じようなプラン内容で料金が安い場合でも、追加料金によって最終的に高額になる場合も少なくありません。

2. 神職への祭祀料

神式葬儀では、神職への御礼として「御祭祀料」や「御玉串料」などを納めます。

仏式では「お布施」として読経や戒名のお礼などを含んだ料金を納めますが、神式には戒名が存在しないため、この分の料金は発生しません。このことから、神式のほうが費用を抑えられるという話が出ることがあります。

しかし、神式には仏式には存在しない「玉串料」などの準備があります。また、葬儀の内容によっては料金は大きく変化し、仏式に比べて費用がかかる可能性もあります。

神職への御礼の表書きは、「御祈祷料」などと書きましょう。金額は神社や地域によって異なるので、事前に確認しておくことが大切です。

3. 仏式との費用の違い

神式葬儀と仏式葬儀の費用を比較すると、それぞれに特徴があります。

仏式では戒名の料金が大きな部分を占めることがあります。戒名のランクによっては数十万円から数百万円かかることもあるため、家族にとって大きな負担になることがあります。

一方、神式では戒名に相当する諡(おくりな)や霊名がありますが、仏式ほど高額になることは少ないようです。この点では神式の方が費用を抑えやすいといえるかもしれません。

ただし、神式葬儀では玉串や供物の準備、神職への御礼など、仏式とは異なる費用がかかります。また、神式葬儀に対応できる葬儀社が限られているため、選択肢が少なく価格競争が起こりにくいという面もあります。

費用をなるべく抑えたい場合は、神式葬儀を行うことのできる業者を数社比較しておきましょう。相談する際には、疑問や不安を抱いた際に都度確認を行うことが大切です。

神式葬儀後の霊祭という供養の流れ

神式葬儀を挙げた後も、仏式の法要に相当するさまざまな行事があります。これらを「霊祭」と呼び、故人の御霊を供養していきます。

1. 十日ごとに行われる霊祭

神道では、葬儀後の行事のことを「霊祭(れいさい)」といいます。

霊祭は「御霊祭」や「墓前祭」「祖霊祭」とも呼ばれており、命日から1年未満に執り行われる行事を指します。仏式の法要にあたるものです。

神式では、逝去した日から数えて十日目に「十日祭」を行います。その後も「二十日祭」「三十日祭」「四十日祭」と、十日ごとに霊祭を執り行うのが慣例です。

霊祭は自宅か祖霊舎で行われることが多く、神職を招いて祭詞奏上や玉串奉奠を行います。親族だけで小規模に行うことがほとんどです。

2. 五十日祭という忌明けの儀式

「五十日祭」は、仏式の四十九日にあたる重要な霊祭です。

五十日祭は神式における忌明けの儀式で、多くの場合この日に納骨が行われます。これまでの霊祭とは違い、親族だけでなく友人や知人を招いて盛大に執り行われることが多いです。

五十日祭が終わると、忌明けとなります。それまで神棚に貼っていた白い紙を外し、「神棚封じ」を解くのもこの日です。

五十日祭では、神職による祭詞奏上、玉串奉奠、直会(なおらい)という宴を開きます。参列者には引き出物を用意するのが一般的です。

忌明けの後は、霊璽を仮霊舎から祖霊舎へ移します。これを「合祀祭(ごうしさい)」といい、故人の御霊が正式に祖先の仲間入りをする儀式です。

3. 式年祭という年忌法要

五十日祭の後は、「式年祭」と呼ばれる年ごとの霊祭を行います。

一年祭は、逝去から満1年目に行われる霊祭です。これは喪明けの儀式として位置づけられており、親族や友人を招いて盛大に執り行われることが多いです。

その後は、満2年目の「二年祭」、満3年目の「三年祭」、満5年目の「五年祭」、満10年目の「十年祭」と続きます。以降は「二十年祭」「三十年祭」「四十年祭」「五十年祭」と、10年ごとに執り行います。

五十年祭で「まつりあげ」となり、弔い上げとされることが一般的です。これ以降は、個人の御霊としてではなく、祖霊全体の一部として祀られます。

式年祭の規模は回数を重ねるごとに縮小していき、親族のみで執り行われることがほとんどです。神職を招かずに家族だけで行うこともあります。

神式葬儀でよくある疑問

神式葬儀に関しては、いくつか共通した疑問があります。ここでは、参列する際に役立つ情報をまとめました。

1. お悔やみの言葉はどう伝える?

神式葬儀では、お悔やみの言葉にも気をつける必要があります。

仏式でよく使われる「ご冥福をお祈りします」という表現は、神式では適切ではありません。「冥福」という言葉は仏教用語だからです。

神式葬儀では、「御霊のご平安をお祈り申し上げます」「安らかにお眠りください」といった表現を使います。また「哀悼の意を表します」というシンプルな言葉も適切です。

「成仏」「供養」「往生」といった仏教用語も避けましょう。神式葬儀ならではの言葉遣いを心がけることで、遺族への配慮が伝わります。

2. 宮司と神主の呼び方の違いは?

神式葬儀で儀式を執り行う方を、「宮司」と呼ぶべきか「神主」と呼ぶべきか迷う方もいるでしょう。

実は、宮司と神主には違いがあります。宮司は神社の代表者という役職名で、神社ごとに一人だけです。一方、神主は神職全般を指す一般的な呼び方です。

つまり、すべての宮司は神主ですが、すべての神主が宮司というわけではありません。葬儀に来られた方が宮司とは限らないため、「神主様」または「神職の方」と呼ぶのが無難です。

直接お話しする際には「先生」とお呼びするのも一般的です。

3. 神社では葬儀を行わない理由

「神式の葬儀なのに、なぜ神社で行わないの?」という疑問を持つ方は少なくありません。

これには神道の考え方が深く関係しています。神道では、死を「穢れ」として捉えます。穢れとは、生命力が減衰した状態を指す言葉です。

神社は神様を祀る神聖な場所であるため、穢れを持ち込むことはふさわしくないと考えられています。ですから神式葬儀は、自宅や葬儀会場、セレモニーホールなどで執り行われるのです。

ただし、葬儀後の霊祭などは神社で行われることもあります。忌明け後であれば、穢れが祓われたと考えられるためです。

まとめ

神式葬儀は日本古来の伝統を持つ葬送儀式です。

仏式とは異なる考え方や作法があるため、初めて参列する方は戸惑うかもしれません。けれど基本的なマナーを理解しておけば、落ち着いて故人を偲ぶことができるでしょう。

特に覚えておきたいのは、玉串奉奠での忍び手、数珠は持参しないこと、お悔やみの言葉に仏教用語を使わないことです。

神式葬儀を通して、日本の文化や先祖を敬う心に触れることができます。故人が守護神として家族を見守るという考え方は、死を乗り越えて絆を大切にする日本人の精神を感じさせてくれるものです。

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